21. ページ24
佐倉蜜柑side
「お前らなんかに欲しくもないアリスを持ってしまった二人の気持ちが、分かってたまるもんか!!」
────欲しくもないアリス…?
そう叫んだルカぴょんに、うちは何て不躾な事を言うてしもうたんやろうか、と後悔した。口から出た謝罪の言葉は、Aの声に掻き消された。
「うち、その…ごめん、なさ────」
『そんな事より、先に進まなくていいの。』
「でも、うち…」
『…アンタみたいなのが謝ったところで、どうこうなる話じゃないんだから。それに、別にアンタに謝られても気持ち悪いだけだし。』
そう言って、これ以上は何も言ってくれるなと言う様な視線を向けられて、うちは黙る他なかった。気を付けな見落としてしまう様なAの言葉の中に見え隠れする不器用な優しさが、うちには少し焦れったい。
Aだって、ルカぴょんみたいにホンマは優しいんやろ。きっと。
「て言うか、蜜柑。アンタ人のアリスの事より、自分の事で何か発見した事とか無いの?」
────どんなアリスか分からないと、クラスの奴ら納得しないわよ。
そう言って先を進む蛍のその一言に、一気に現実に引き戻された気分になった。
せ、せやった…!どうしよう、頑張ってこの森を突破する事ばっかり考えてたけど、そもそもうちにアリスが無かったら、この学校におられんくなるんやった。
トボトボと蛍たちの後ろを歩くうちに、Aが声をかけた。
『暗い顔してんなよ、ブサイク。』
「なっ…!」
Aがうちのほっぺを乱暴に引っ張ってそう言った。い、痛い痛い…!人が落ち込んでる時にいきなり何すんのや!
『別に、アリスの一つや二つくらい見つかるんじゃないの。』
「そ、そんな簡単に言うけど…」
『私がここまでしたんだから、何も無かったですごめんなさい、なんて許さないから。』
「…せやかて、無いもんをどうすれば良いんや?」
『そ、それは私に聞いたって仕方ないでしょ!…そこはこう、ビシッとアンタが決めなよ!』
「…ずっと思っててんけど、Aってやっぱり結構なアホやんな。」
『はあ?!もう知らない!』
顔を赤くしてそう言いながら、小走りでルカぴょんに駆け寄って行ったA。…なんやかんや言いながら、やっぱりうちを心配してる…?
そう思いながら、視線を上げて前におるAを見た。Aはうちを、正確にはうちの後ろを見て、目を見開いていた。
『な、なんで…!』
230人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し67465号(プロフ) - とっても面白いです!!3人の関係とか…ナルの今後とかほんとに楽しみです!更新待ってます! (6月10日 1時) (レス) @page40 id: 4d7900bf24 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私、愛され&逆ハー大好物なので嬉しいです!学園アリスのキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (2023年4月27日 6時) (レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
MIMI(プロフ) - とっても面白かったです!忙しいと思いますが、続き読むの楽しみにしてます!! (2020年6月25日 6時) (レス) id: f110a4bf7d (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 学園アリス、初めて読んだけどとても面白かったです。お忙しいとは思いますが、無理をせずに更新頑張ってください!応援してます!! (2020年4月18日 22時) (レス) id: 314144f7d7 (このIDを非表示/違反報告)
Σ(・д・) - とっても面白いです!続き頑張って下さい! (2018年2月26日 22時) (レス) id: b4b3e9b57b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:マダム・リリー x他1人 | 作成日時:2017年1月21日 6時