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乃木流架side
「…見ないって、約束したくせに。」
『…覗きは立派な犯罪なんだから。』
そう言った俺達を気にする様子もなく、ソイツはバカにした様に笑いながら俺に謝ってくる。けど、全然誠意が感じられない。
「A、こんな奴等放っておいて帰ろう!」
『うん。』
走り出した俺達を、今井が呼び止めた。
「二人共、これこれ。」
今井がポケットから取り出した写真を見て、俺達は二人揃って息を呑んだ。
「旅は道連れって言うじゃない?」
『…捨てたんじゃなかったの、それ。』
「データは残してあるわよ。」
コイツ、悪魔だ…!!
『か、返せ!今すぐ写真捨てろ!』
「嫌よ。まだ売り足りないくらいなんだから。」
Aが今井から写真を取り上げようとしても、ヒラリヒラリとかわされてしまう。
そして俺は、変な歌を作ったソイツの挑発にまんまと乗ってしまった。
「やーい、地が出た地が出た。アンタほんまは単純やしアホやし到底悪には見えへん。」
「なっ!勝手な事を…!」
「何でわざとそんな態度取ってんの?笑っちゃいけへん訳でもあるん?」
「…俺は、笑わない。」
俺がそう言った時、確かにAが目を伏せて悲しそうな顔をした。けど、ごめん。Aは俺に笑って欲しいって言うけど、俺の考えは変わらないよ。
Aも棗も笑っている時が、俺の笑う時なんだ。
「Aが…棗が笑わないから。二人が苦しい時に、俺一人楽しい思いなんてしたくない。」
────何で、二人ばかり…!
────…私、早く大人になりたい。
────…力が欲しい、強くなりたい。
強さの代わりに行き場をなくした悲しみは、一体いつまで棗の心に降り積もっていくのだろう。そう思っていた時、棗はAに出逢った。Aと出逢って、棗の悲しみは少しずつ、でも確かに癒えている。それでも…まだなんだ。
棗の悲しみ癒すのがAなら、Aの悲しみは誰が癒してあげるの?俺達は少しでも力になれているの?
「分かった!アンタ二人の真似してるんやろ!Aは兎も角…何であんな性格悪い奴の真似なんか…」
「何も知らないくせして勝手な事を言うな!」
Aの事も、棗の事も何も知らないくせに!!
「お前らなんかに欲しくもないアリスを持ってしまった二人の気持ちが、分かってたまるもんか!!」
…ああ。そう言う俺は、二人の事をちゃんと分かっているのかな。
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名無し67465号(プロフ) - とっても面白いです!!3人の関係とか…ナルの今後とかほんとに楽しみです!更新待ってます! (6月10日 1時) (レス) @page40 id: 4d7900bf24 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私、愛され&逆ハー大好物なので嬉しいです!学園アリスのキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (2023年4月27日 6時) (レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
MIMI(プロフ) - とっても面白かったです!忙しいと思いますが、続き読むの楽しみにしてます!! (2020年6月25日 6時) (レス) id: f110a4bf7d (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 学園アリス、初めて読んだけどとても面白かったです。お忙しいとは思いますが、無理をせずに更新頑張ってください!応援してます!! (2020年4月18日 22時) (レス) id: 314144f7d7 (このIDを非表示/違反報告)
Σ(・д・) - とっても面白いです!続き頑張って下さい! (2018年2月26日 22時) (レス) id: b4b3e9b57b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マダム・リリー x他1人 | 作成日時:2017年1月21日 6時