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ナワーブ視点
「あー、引っかかる……引っかかる……」
「どうしたんだい？ナワーブ。」
女子たちに食堂を追い出された俺らは、今から自室に戻ろうと廊下を歩いていた。この廊下には俺とイライしかいない。どうやら、女子会が行われるのを察して、全員、食堂から脱出したようだった。
ウィリアムの部屋からはカヴィンやノートンなどの酔っ払いたちの宴が聞こえる。
でも、そんな声なんてどうでも良くなるほど、俺はアイツのことで悩んでいた。
「もしかして、Aのこと？」
「あー、まあな。」
「それなら、Aは僕がいただくよ。君には、」
「いや、そーゆーことじゃねーんだ。」
俺はイライの声を遮ってそれを否定する。もっぱらAを奪われる気はねーが、そんなこと決定事項なんだよ、イライ。
「……どーせ、俺が言わなかったらあらゆる手を使って探るんだろ？」
「僕の眼はそんなに便利じゃないよ。」
「……どうだか。」
俺はため息を吐きながらも、隣でニコニコしたコイツになんとなく腹が立ち、若干の舌打ちをしながらも話すことにした。
「……アイツさ、スナイパーライフルを使ってラックキルしてたじゃん？そんならまぐれでも分かるんだけどよ。初めて使う素人スナイパーが、ウィリアムや俺に銃弾を当てずにわざと外せるか？それも、結構際だったぜ。」
「……さあ、『はじめまして』じゃ、無かったのかもね。」
「おい！イライ、アイツを疑う気か！？」
「疑ってはないさ。ただ、僕らはAを知らなすぎる。」
そういうと、コイツは妖艶に微笑む。
「少し探る必要があるかもね。これからの為にも。Aの為にも。」
初めてだった。コイツをこんなに危ないヤツだと思ったことは。そう思ったら、コイツは直ぐにいつものアホずらに戻る。
「さあ、行こうか。明日もDBRの試合はある。僕らが出る訳では無いかもしれないけど、休んでおこう。でないと、」
イライがウィリアムの部屋のドアを親指で指さす。
空いた手の方で突如始まったカウントダウン。3、2、1……
「ばっ〜、イライ〜、ナワ〜ブ、だずげで〜。」
「Hey、ハニー！俺と飲まない？」
カウントダウンに合わせて、開いたドアからは、カヴィンとノートン(おそらく付き合わされた)が出てきた。
「……こうなりたくなければ、さっさと眠ることだね。」
「……おう。そうさせてもらう。」
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作者名：キャンディ子 | 作成日時：2020年4月7日 13時
