7話 ページ7
｢……｣
さとみは、少しだけ顎に手を当てて考えてから、四角形の一角を力強く押した。
すると押した角が下に沈み、対角がギギッと小さく音を立てて浮いた。
他のメンバーも、自然とそこに集まり、空いた空間を見た。
｢これ、は…｣
その空間には
｢……木の棒…？｣
大量の木の棒が入っていた。
｢…なんだろう、これ…比較的長いのが2本、短いのが10本近く。｣
るぅとが中の木の棒を手に取りながら呟く。
｢あ、長いのには等間隔に穴があいてる｣
ころんが棒を見ながら言うと、1度沈黙が流れる。
全員がその棒の使い道を察していた。
｢……梯子、かぁ…｣
莉犬が、納得、というように呟くが、その声はどこかガッカリとしていた。
｢…こんなん、保存状態が悪すぎて使いもんにならへんやろ。使えるのは子供位や…｣
ジェルの言葉に全員が小さく頷いた。
梯子は既にボロボロで、組み立てたとしても、大人が乗ればすぐに壊れてしまう位には劣化していた。
｢しかも使えたとして、どう使う？って話だ｣
そして、さとみの言う通り梯子の使い道はないのだ。
天井に穴や抜け道などもなく、全く使えない。
｢他に何かないの？｣
｢ん〜…どうだろ…｣
るぅとの問にころんが穴の中の奥に手を伸ばす。
ころんが思いっきり奥へ手を伸ばし、穴に頭を突っ込み奥を調べると、他4人が違和感を感じた。
｢…ころちゃん、そんなに広いの？そこ｣
代表して莉犬が聞くと、ころんは｢うん、こっち側壁が見つかんない｣と、穴の奥へ潜っていく。
他4人はそれを見て、1度顔を見合わせてから
｢もしかして、狭い通路みたいな？｣
そう聞いた。
すると、ころんは、なるほどっ！、と言わんばかりに
｢あー！！そうかもしんないっ！！｣
声を上げた。
ころんは、もそもそと、隠し通路(穴)から顔を出すと、
｢暗いからなんっも見えない。｣
そう言った。
そんなころんの顔には手入れをされていない通路で動いていた為、ホコリや汚れがついていた。
｢…灯り、なら、アレやろ｣
ころんの顔の汚れを自身の囚人服でごしごしと拭き取りながら、鉄格子の外の松明へ視線をやるジェル。
｢……あー、まぁまぁまぁ、なるほどねー…｣
さとみは梯子の木の棒へ視線をやってから言葉を濁した。
その時、
コツ……コツ…コツコツ
と、足音が響いた。
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作者名：ナナシ | 作成日時：2020年11月22日 1時
