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一応チャイムを鳴らしたけどやっぱりAは出ぇへんかった
盛「…出ないな」
ポストの鍵を開けて、その中に入ってる鍵を出した
リ「場所、変わってへんくてよかった。」
盛「…セキュリティーがばがばやないか」
リ「…A？入るで」
3回ノックをし声をかけて中に入った
そこにはたくさんの酒の空き缶と乱れたベッド、ゴミ箱に沢山捨てられたティッシュ、“その”独特な匂いに頭が一瞬くらっとした
盛「なんや、ここ、、」
リ「まじか、」
奥には以前、立花と板の上に立ち、お客さんを笑わせたり楽屋で俺らと話しとったときとは見違えるような姿で煙草を吸うあいつがおった
「リリーさんと、盛山さんや、、笑」
そしてこいつは、消えてまいそうな笑顔でふにゃっと笑った
リ「…何してんねん、」
盛「ちょ、リリー」
自分でもびっくりしてまうほど低い声が出た
「…へへっ、亮介くん、、居なくなってもうて、」
リ「…聞いた」
「それで、分かったんです。私ってなんの実力もないなって。 1人で初めて舞台に立ったら、全然笑ってもらえんくて、笑うどころか罵られて、っ、でも、ファンの方はおって、」
盛「そらおるよ、あんな人気やったんやから」
「ちゃうんです、私のこと好いてくれとる人って、私の“笑い”のファンなんかひと握りしかおらんかって、まだ売れてない近づきやすい女芸人 っていうカテゴリー分けされたとこで好いてくれとるだけやったんです、」
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作者名：しずく | 作成日時：2023年1月5日 21時
