東方フローリスト4～U-Know&Changmin (ページ6)

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「このお花はどうですか？」

花をとったり戻したりしていたその人が、

そのうちの1本を私に見せた。

ひとつ白い花が咲いていて、つぼみのようなものがその先に連なっている。

「これって何て言うんですか？」

「フリージアって言います。春の花だけど今頃から入るんです」

「へえ・・・」

「いいにおいですよ？」

そう言いながら、私のほうに花を向けてくれる。

「あ、・・・ほんと。甘い香り」

フリージアというその花を、私はすっかり気に入った。

「これ、ください」

「1本でいいですか？」

「うーん・・・3本、かな」

「はい」

手早く包装紙にくるんだフリージアを手渡しながら、

その人は私に言った。

「気休めになるといいんですけど」

「はい？」

「フリージアには心のモヤモヤを洗い流す効果があるんです」

「へえ・・・」

私は改めて包装紙の中のフリージアをのぞく。

「もしかしたら、あなたのお話をきいてくれるかもしれないですね！」

パーカーブルゾンの彼がおちゃめに笑って言う。

「そうだといいなあ。・・・ありがとうございます」

2人は店の外に出て、私を見送ってくれた。

またあの花屋、行ってみようかな。

ついさっきまでのイライラした感じは消えてしまっていた。

いい香りをさせているフリージアを大事に持って、

私は少し明るい気分で家に向かった。