プリズム～君と過ごす毎日（オリジナル） (ページ10)

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no.10 ページ10

颯太さんの少し後をついて、

私はマンションの前の通りにでた。

たくさんの景色と音が私の身体を包み込む。

タクの住んでるところは・・・

こういうとこだったんだ。。。

あんな目に遭ったのに、ばかだなあ。

私は・・・やっぱりタクが好きだ。

ほんとにばか。

「真由ちゃん？」

立ち止まった私に気がついた颯太さんが声をかけてきた。

「あの・・・私、帰ります」

「え？」

「このまま家に帰ります。バッグ持ってきてるし」

「・・・」

「貸してもらった服、洗濯できなくてごめんなさい」

「いいよそんなの・・・駅まで送る？」

「いえ、大丈夫です。1人でも行けるから」

「そう。・・・じゃあ、ね」

「はい。本当にありがとうございました」

おじぎをして、

私は教えてもらった駅の方向へと歩き出した。

☆

産むのか、産まないのか。

答えを出せない日が何日も続いたある日。

私がバイトを終えて家に帰る途中で電話が小さく震えた。

『このあいだはごめん。もう一度話をしよう』

タクからのメール。

あんなに落ち込んで泣いたのに、

私はうれしくなってしまう。

私のこと・・・気にかけてくれてるんだ。

もしかしたらあの人よりも・・・？

だとしたらまだ、望みはあるのかな？

ううん、そんなのヌキにしても、

私はタクに会いたい。

バイトがない日を手帳でチェックして、タクに返信した。

久しぶりにうきうきした気持ちだった。