no.7 ページ7
「・・・マジで？」
私の身の上に起きていることを全部聴いて、
颯太さんは信じられないという表情でつぶやいた。
私の顔とお腹を交互に見ている。
「にん、しん、してるんだ・・・」
「はい。お医者さんは2ヶ月だって言ってました」
「そう・・・」
「うれしいことだったはずなのに・・まさか、彼氏が結婚してたなんて。
全然そんな素振り見せなかったし・・・考えたこともなかった」
「・・普通考えないし、ありえないでしょ」
「そうですかね？」
「そうだよ。ってか、なにその男！そいつ知ってるの？真由ちゃんが妊娠してるって」
「・・・知らないです」
「なんで？！そいつ一生何も知らないで生きてくんだよ？いいの？」
「・・・・・・」
ぽたっと涙が落ちた。
「・・好きだったのに・・・すごく好きだったのに・・・
ひどい・・・もう嫌い・・・会いたくない・・声も聴きたくない」
「真由ちゃん」
颯太さんの困った声に後押しされるように、
私はわんわんと声を上げて泣き出した。
颯太さんは私が泣いている間ずっと、私の背中をさすってくれていた。
「すみません・・変な話聴かせちゃって」
「変じゃないよ。・・それよりさ、どうするの？」
「え？」
「お腹の子・・・産むの？」
「・・・」
妊娠がわかったとき、
私はタクとの子だ！って浮かれていて、現実を全然考えてなかった。
奥さんのいる人の子を産んで、
私は1人で育てていけるんだろうか？
「どうしよう・・・私まだ大学生だし」
「親は？」
「故郷に母が・・」
「そっか・・・」
どうしよう。
本当にどうしよう。
なんで、あのとき避妊しなかったんだろう。
タクの言葉なんか信じなければこんなことにはならなかったのに。。。
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作者名：sai-sai
| 作成日時：2016年9月21日 22時
