no.3 ページ3
あたりがすっかり暗くなって、
タクはようやく足を止めた。
そこは公園だった。
私をベンチに放り投げるように座らせて、
タクは腕を組んで私の前に立ちはだかった。
「あのさあ・・・なんでここわかったの？」
「え・・・、つき合いだした時に連れてきてくれたから覚えて、て」
こっちが身じろぐくらい、タクは警戒心を丸出しにしていた。
なんで？
今までのタクはどこに行ったの？
「オレが連絡するの待てよ！」
突然怒鳴られて、私はがくがくと震えだした。
「な、なんで」
「なんでもクソもねーよ！うぜーんだよ！」
優しいと思っていたタクからこんな汚い言葉を聴くなんて・・・
私はとてもショックを受けていた。
と同時に、言いようのない怒りがこみ上げてきた。
「黙って聴いてれば・・・そっちこそ何なのよ！！」
いきなりベンチから立ち上がって声を荒げる私に、
タクは驚いたようだった。
「私はタクの彼女だもの、彼氏の心配してなにが悪いの？！
ねえ、あの人誰？何なの？！」
ありったけの勇気を振り絞って、
私は大声でタクに怒鳴った。
立ち上がった私と入れ替わりに、
タクがベンチに力なく座り込んだ。
「・・・ごめん。怒鳴って」
「答えになってないよ」
「・・・」
「ねえ、あの人はタクの何なの？」
「・・・あいつは、オレの奥さんだよ」
「・・・え？」
気が遠くなるような感覚がした。
「ごめん。本当に黙ってて・・・ごめん」
「ちょ、・・待って。タクは独身、じゃない、の？」
「・・・ごめん」
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作者名：sai-sai
| 作成日時：2016年9月21日 22時
