プリズム～君と過ごす毎日（オリジナル） (ページ11)

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no.11 ページ11

その週の木曜日。

私はカフェのいつもの席に座って、タクが来るのを待っている。

タクに会うために選んだひざ上のワンピースは、ゴージャスなレースで縁どられている。

少し香水もつけて。

久しぶりだからか、そんなおしゃれが妙にこそばゆい。

なんとなく窓の外を見たら、ちょうどカフェのドアを開けるタクと目が合った。

「遅れてごめん」

私がいる席までやってきたタクは、いつもどおりの笑顔を見せた。

「ううん」

椅子に腰をおろして、コーヒーを注文する。

これまでと全く変わらない行動に、この前の出来事はウソだったんじゃないかと錯覚してしまう。

夢、だったりして・・・

「真由」

一息ついたタクは、緊張した表情で私を見つめた。

「この前は・・・キツいこと言ってごめん」

「うん・・」

それきりタクは無言になる。

「タク・・・」

「なに？」

「こないだの、って・・・ウソ、だよね？」

「・・・」

「私じゃない女の人と結婚してるって・・・ウソ、だよね？」

タクは首を縦には振らなかった。

苦い表情で私から視線を逸らしている。

「それは・・・ほんとにごめん」

その”ごめん”は、どっちの意味なの？

ウソをついてたことに対する”ごめん”？

それとも・・・

「ちゃんと説明しなきゃな・・・」

テーブルの上の手をぐっとこぶしにして、

タクが私をまっすぐ見つめた。