no.2 ページ2
それから2週間ほど、タクからは連絡がなかった。
電話してもつながらない。
こんなの、初めてだ。。。
タクになにかあったのかな・・・
さーと雨音が聞こえる。
雨に濡れた窓の向こうの暗闇を見つめて、
私はどうしようもない不安に襲われていた。
次の日。
私は大学の授業が終わった足で、タクの家に向かっていた。
つき合いだした頃に一度だけ行ったその場所。
家に行ったのはそれきりで、
タクと会う場所と言ったらカフェやホテルばかりだった。
昨日の雨で空気が一段と冷え込んだ気がする。
ぶるっと身体を震わせながら、私は重たく感じる足を懸命に動かした。
最寄駅からは少し離れた高層マンションの10階。
「三枝(さえぐさ)」と書かれたドアの前。
私は少し緊張しながら、インターホンを鳴らす。
「はい」
ドア越しに聞こえたのは、女の人の声だった。
・・・
どういうこと・・・？
私が返事できずにいるとがちゃがちゃと音がして、
タクが顔を出した。
「・・・真由」
「ごめん、来ちゃった」
知ってるひと？
奥のほうから柔らかい声が聞こえる。
「うん、昔の知り合い。ちょっと外出てくる」
そう言うと、タクは私の腕をつかんで歩き出した。
「や、タク痛い」
「んで来んだよ・・・」
小さく、ほんとに小さく、タクがそうつぶやくのが聴こえた。
私は・・・
タクの彼女、じゃないの？
今自分に何が起きようとしているのかなんとなくわかったけど、
理解したくなかった。
受け入れたくなかった。
私はひたすら歩くタクに引っ張られながら、
血の気が引いていくのを感じていた。
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作者名：sai-sai
| 作成日時：2016年9月21日 22時
