検索窓
今日:276 hit、昨日:604 hit、合計:167,238 hit

7話 ページ7




ぎぃ、ぎぃとブランコの(きし)む音と近所の子供の笑い声をBGMに、2人でブランコをこいだ。

なんだか子供に戻ったみたいで、不思議な気分になる。
顔の火照りもおさまったし、と快斗くんの方をちらっと見る。


ふと、気になったことを聞いてみた。


「快斗くんてさ、なんでちっちゃいときから手品とかできたの?」


小学校低学年のころであんな手品をできるのはすごいと思う。
テレビでしか見たことなかったし、友達も手品ができるなんて子、中学にあがってもいなかったのに。


「俺のおやじ、黒羽盗一っていって、すげーマジシャンだったんだ」


ああ、納得。小さいころから教えてもらっていたのか。
にしても父親がマジシャンなんてすごい、なんだか遠い世界の話みたいだ。


けど、少し引っかかる。
だった、ってどういうことなんだろう。


「俺のおやじ、8年前にショーで死んだんだ」


そう言った快斗くんの目は、悲しげに揺れた。
8年前、というとわたしが快斗くんに出会ったあとだ。
とんでもない地雷だったのかもしれない。知らなかったとはいえ申し訳なかった。


「ごめんなさい…嫌なこと、思い出させちゃった」


「なんでおめーが謝んだよ」


わたしのおでこをこづいたあと、にっと笑った快斗くんはブランコの立ちこぎをする。


「おやじが死んだこと思いだしても、もう泣いたりしねーよ

ま、もうおやじのショーが見れねぇのは残念だけどよ」


そう言って高くこいだ快斗くんは、前を見ていて。
いつまでも過去に囚われているわたしには、あまりにも眩しく思えた。


やっぱり快斗くんは、わたしに出来ないことが出来る。
ブランコの立ちこぎも、猫を助けるのも、手品も、…前に進めるのも。


わたしは、どれも出来ない。
1人で何も出来ない。だからわたしは、振り向くことしかできないのだろうか。




8話→←6話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (197 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
452人がお気に入り
設定タグ:まじっく快斗 , 黒羽快斗 , 怪盗キッド   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(;; ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます! (2020年4月24日 13時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます! (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - 。゚(゚´ω`゚)゚。快斗×夢主がヤバイよぉぉお!! (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう!って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです!本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます!また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みすと | 作成日時:2019年5月8日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。