23話 ページ23
○
しばらくすると、スマホの通知が鳴った。
画面を見ると、青子ちゃんが『快斗見つけた!』『連れていくね』とのメッセージが。
流石青子ちゃんである。
快斗くんがまだ学校にいたという安心感とともに、なんだか突然緊張してきてしまって落ち着かなくなる。
どうしよう、もう
すると、快斗くんと青子ちゃんの話し声が聞こえてきた。
いつ見ても仲良さそうだなあ。
ちょっとモヤっとした理由は相変わらずわからないけど、とりあえず青子ちゃんにお礼を言う。
「青子ちゃん、ほんとにありがとう!」
「いーのいーの!じゃあね、Aちゃん、快斗!」
青子ちゃんに笑顔で手を振ると、横から快斗くんが声をかけてきた。
「A、学校まで来てどうしたんだよ?」
「えっと、少しお話が」
帰りながら話すよ、と歩を進めた。
まだ周りには下校中の人がたくさんいて、さすがに筒抜けは嫌だと感じたから公園の近くまで行こうと思った。
快斗くんは不思議そうについてくる。
向かっている間は、あんまり上手く話せなかった。
「…さて、何だ?話って」
快斗くんはもったいぶられて痺れを切らしたのか、急かすように尋ねた。
「うん、えっとね
嘘をついたので、ホントのことを言いにきました」
快斗くんは、はっ?と言って目をぱちぱちさせた。
こんな話だとは予想もしてなかったみたいだ。
「いつ、嘘ついたんだ?」
「この前、休みの日に会ったじゃん
そのとき」
快斗くんはああ、とつぶやいた。
だいたい何のこと話してたのか思い出してるっぽい。
わたしは、意を決して口を開く。
「あのときわたし、買い物なんてしてなかったんだよね
お母さんの、お見舞いに行ってたの」
快斗くんは、大したことじゃねーじゃん、みたいな反応してたけど、違う、ここじゃないんだ。
わたしがちゃんと言わなきゃいけないのは、このあと。
「…わたしのお母さん、ずっと入院してるの
9年間、お父さんが亡くなった日から」
快斗くんの顔色が変わった。
9年前、というところにピンときたのかもしれない。
「快斗くんと初めてあったとき、もう既にこの状態だった
…だから快斗くんのマジックに、すごく救われた」
そう言って、
…そう、ここまで言いたかった。
全部話すなら、お礼まで言いたいと思ったのだ。
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みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(;; ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます! (2020年4月24日 13時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます! (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - 。゚(゚´ω`゚)゚。快斗×夢主がヤバイよぉぉお!! (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう!って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです!本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます!また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みすと | 作成日時:2019年5月8日 21時