14話 ページ14
○
「そういやA、今日はどうしたんだ?」
快斗くんが何気なく聞いてきた。
けれどわたしはその言葉で、びくっと肩が跳ねる。
お母さんのお見舞いに。そう言えば済む話だけど、事情まで話したくなかった。
『可哀想』だって、思われたくなかったから。
わたしは震える口でこう言った。
「ちょっと買い物に来てたの」
ちゃんと笑えていただろうか。
わたしは何か言葉をはさまれる前に言葉を続けた。
「そういや2人はどうしたの?デート?」
自然にうまく話を逸らした。
けど、自分で聞いておいて何故かモヤっとした。
「はぁっ!?いやいやまさか!!」
「誰がこんなやつと!!!」
快斗くんと青子ちゃんの息はやっぱりぴったりである。
2人が恋人ではないとわかってほっとした。
…え、なんで。
なんでそれでほっとしたんだろう。はてなマークが飛ぶ。
「ちょっと買い物に付き合ってもらってんの!
荷物持ちだよ荷物持ち!」
青子ちゃんは笑いながら快斗くんを指さしている。
快斗くんは乾いた笑いをこぼしていた。
仲いいんだなぁ。
「ごめんね引き止めちゃって、それじゃあ」
これ以上話してちゃんと笑えるか分からなかったし、なんだかモヤモヤした気持ちがなくならないから、足早にその場をあとにした。
「…っはあ」
なんだろう、今までは快斗くんに会えると嬉しくてたまらないのに、今日は違った。
なんだかすごくモヤモヤして、上手く笑えたかもわからない。
今までと違う部分があったのか。
病院行ったあとだったから?初めて休日に会ったから?
…となりに、知らない女の子がいたから?
「…なにそれ」
確かに仲良いふたりを見てたら、羨ましいっていうか、すこしモヤっとしたけど。
このモヤモヤした気持ちを拭い去りたくて、ぶんぶんと頭を振って、
わたしの今の気持ちとは裏腹に、空はとても晴れていて、石もきらきらと輝いている。
「…う、まぶしい」
虫眼鏡で太陽を見てはいけない。
打ち明けたときに向けられるかもしれない目が怖くなって、ふたりを見てたらモヤモヤして、逃げてきたわたしには、眩しすぎる。
…なんか、バカみたい
乾いた笑いがこぼれた。
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みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(;; ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます! (2020年4月24日 13時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます! (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - 。゚(゚´ω`゚)゚。快斗×夢主がヤバイよぉぉお!! (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう!って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです!本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます!また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みすと | 作成日時:2019年5月8日 21時