5話 ページ39
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さっさと目当てのものを頂き、中森警部たちを
あれから会ってないし、話したいなとか思って、また街灯の上に降り立つ。
「こんばんは、またお会いしましたね、お嬢さん」
…キザだな。自分で言ってて恥ずかしくなった。
しかし俺は怪盗キッドを演じているから、ポーカーフェイスを、平常心を保っている。
もし今怪盗キッドを演じるのをやめれば、俺はこんなセリフ、絶対言えないだろう。
そしたら今日も宝石を盗ってきたのか、と聞かれたから見せて、月にかざしてみた。
やっぱりこれもパンドラではない。軽くため息をついた。
「…探しているものが、あるんですか?」
これも探しているものではない、と言うと尋ねられた。
なんて答えるか迷ったから、とりあえず笑ってどうなんでしょうね、とはぐらかした。
するとAは、ふふっと笑った。あ、かわいい。
「怪盗さんって、やっぱり隠し事が多いんですか?」
「そうですね、怪盗はミステリアスである方が魅力的かと思いまして」
「面白いんですね、怪盗さんは」
開き直ってキザな返しを貫いてやったら、面白いと言われた。
ま、泣きそうな顔だったのが今は笑ってるんだしいっか。
「ありがとう、怪盗さん
おかげで、やっと決心できた」
何のことか分からず、決心?と尋ねそうになったけど、やめておいた。
「お嬢さんのお役に立てて良かったです」
するとAは、以前渡したうさぎ形のハンカチを取り出した。
「この間は、ありがとうございました
これ、返そうと思って」
ウサギの形のハンカチは、Aの涙を俺がなくしてやりたかったから。
だから持っていて欲しい、とそう思った。
「それはプレゼントしますよ」
ハンカチに手を重ね、リボンを巻けばAはぱあっと笑顔になった。
「!…かわいい」
「それは思い出として、大事にしてくださったら本望です」
「うん、ありがとうキッド」
ただの、俺の自己満足でしかなかったウサギの形のハンカチを、Aが大事にしてくれたら、それはとても嬉しいなと思って。
何か口走ってしまう前に、さっさと煙幕とともに消えた。
…ああ、どうしようもなく、好きなのかもな。
黒羽快斗に戻った俺は、きっと顔が真っ赤だったと思う。
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みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(;; ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます! (2020年4月24日 13時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます! (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - 。゚(゚´ω`゚)゚。快斗×夢主がヤバイよぉぉお!! (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう!って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです!本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます!また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みすと | 作成日時:2019年5月8日 21時