第9話 ページ9
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ポアロの扉を開けると、梓さんのお出迎えで頬が緩んだのもつかの間、奥に金髪が見えて一瞬で背筋が凍った感覚がした。
あの安室透さんがいる。わたしは、やっぱり神様いないなと悟った。
「そうそうAちゃん、ここすっごいイケメンの店員さんいるのよ!」
園子ちゃんがそれはもう安室さんの方へ誘導せんとばかりに背中をグイグイ押してきて、わたしは抗えずされるがまま。
安室さんとばっちり目が合うポジションまで連れていかれた。
「紹介するわね安室さん!こちら蘭の家にいるAちゃん」
「初めまして、安室透です」
「初めまして…」
安室さんににこりと笑いかけられて、目を逸らして挨拶だけさっさと済ませた。
画面越しで見ても目の前にいても、変わらないイケメンっぷりである。
近所のJKに人気があるのも頷けるし、 わたしだって正体を知っていて且つ警戒していなかったら、この微笑みで骨抜きになっていただろう。
しかしこちとら(おそらく)戸籍を持っていないという爆弾を抱えている状態なのである。
おちおち
しかしそんなわたしの気持ちとは裏腹に、園子ちゃんはバンバン話を広げていく。
「Aちゃん、安室さんて私立探偵なのよ!」
「ああ、もしお困りの事があればご相談くださいね」
「早速相談しちゃえば?」
「え、えー…」
もちろん安室さんが私立探偵やってる事も、組織に潜入してコードネームも持っている事、そして公安警察のトップだという事も知っている。
こんなトリプルフェイスに、わたしの事を怪しんで調べられたら困る。
出来ればわたしに関する情報は何も出さず、女子高生二人と談笑してさっさと帰りたかったのだが、それはもう叶わなくなってしまった。
これはもうわたしの『困り事』を言う流れである。
「わたし、記憶喪失なんです」
えへ、と笑ってそこまで困ってないふうを装う。
「けど、少年探偵団のみんながわたしの事…探してくれるみたいです」
最後に頼るつもりは無いという意思を伝えておいた。
あからさま過ぎたかな、とも思ったけど、毛利探偵事務所に居候している身だ、安室さんに頼らなくても違和感ないだろう。
正直
好きなキャラだから会いたいけど、この人達相手に怪しまれず無事に帰れるとは到底思えないのだ。
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みすと(プロフ) - リリィさん» 読んでくださりありがとうございます! めちゃ更新遅くてごめんなさい…!必ず続きちゃんと書くので待ってくださると幸いです、、、 (2019年8月20日 14時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - 気長に待ってます。なので、更新お願いいたします! (2019年8月17日 18時) (レス) id: 14d9286bf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みすと | 作成日時:2019年8月15日 17時