検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:9,144 hit

第7話 ページ7




「お邪魔します…」

「紹介するよ、こちら阿笠博士」


博士に挨拶されて、あわてて頭を下げる。
子供達はこれから博士の家へ行く予定だったらしく、わたしもどうかと誘われて今に至るわけだ。

道中子供達も自己紹介をしてくれた。みんな知ってるけど、本人からわたしへ言われるのはやっぱり違う。すごく良かった。


「なんて呼べばいいかの?」

「あ、いえお好きに呼んでくだされば…」

「そっか、お姉さんお名前も覚えていないんですね…」

「だったらよー!俺らがねーちゃんの名前考えてやろーぜ!」


えっ?と素っ頓狂な声が出た。
歩美ちゃんや光彦君も元太君からの提案に乗り気なようで、博士は紙とペンを手渡してくれた。


「だってお姉さんの事、名前で呼びたいもんね!」


わたしが紙を見て固まっていると、歩美ちゃんがとびきりの笑顔で言ってくれた。

ま、まぶしい。わたしが感動していると、元太君や光彦君、さらに哀ちゃんも名前の案を出してくれて、わたしは急いで名前を書き留めていった。


「結構たくさん考えたのお」

「どうですか?気に入ったもの、ありましたか?」


光彦君の問いに、わたしは紙をじーっと見つめた。どれもこれも素敵な名前である。

文字の羅列を見つめているうち、ふとひらめいた。


「A…がいいかな
ここ、縦に読むと、ほら」


子供達と博士が紙を見て、おおっと声を上げた。


「いーじゃねーか!」

「決まりですね!」

「じゃあ、Aお姉さんだ!」


きゃっきゃと子供達に名前を呼ばれて、じーんとした。
目の奥がつんとして、泣きそうになるのを必死にこらえる。


「えへ、ありがとう」


A、とわたしも名前を反芻する。
心が暖かくなるのとともに、どこか懐かしい響きだと感じた。

歩美ちゃん達が何度も名前を呼んでくれるから、嬉しくって、もうずっと前からこの名前だったような気がした。






「なあ、灰原」

「何? 工藤君」

「あの人、黒ずくめの組織で見たことないか?」

「あんな人、見たことないと思うけど…どうして?」

「いや…あの人、俺が事件現場で推理しても何も怪しまなかったから」


こんな会話をされていたのを、わたしは知らない。




第8話→←第6話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
82人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みすと(プロフ) - リリィさん» 読んでくださりありがとうございます! めちゃ更新遅くてごめんなさい…!必ず続きちゃんと書くので待ってくださると幸いです、、、 (2019年8月20日 14時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - 気長に待ってます。なので、更新お願いいたします! (2019年8月17日 18時) (レス) id: 14d9286bf4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みすと | 作成日時:2019年8月15日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。