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○
「Aーーー!!!」
「うおっ」
どーん、と背中に衝撃を受ける。痛い痛い。
振り向くと、犯人は三奈ちゃんと透ちゃんだった。
わたしは肉じゃが作りのために切った野菜を入れたボウルを机に置く。
「えぇ何、どしたの」
「どしたのじゃない! どしたのじゃないよー!」
「なんっで轟とひとっことも喋ってないワケ!!?」
ずいずいと詰め寄られた。
轟くんに聞こえてない!!? と思ったけど、向こうで薪をくべながら緑谷くんと何やら話している様子だった。
「ええー、別に理由なんてないよ
訓練のときは邪魔になるし、終わったあとは疲れてるだろうし…」
「なんだよー! イチャついてるとこ見たかったのに!」
「誰が見せるか!」
というかみんないる中でイチャつくと思うか!
私がこんな気分じゃなくても、絶対しない!!
「けどAちゃん、ホントに元気ないよ?
何かあったの?」
透ちゃんのトーンが、心配するような優しいものに変わった。
うーん元気ない、っていうのは私がひとりで悩んでるからなんだけど。
「そういうの、言ってくれなきゃわかんないよ?」
透ちゃんに言われて、はっとする。
そっか、言わなきゃわかんない、か。
よし、決めた。
わたし、今夜の肝だめしが終わったら、轟くんに会いに行こう。
それで、私が思ってること全部、言ってみよう。
そしたら、何か変わるかもしれない。
「…うん、うん! 三奈ちゃん透ちゃん、ありがと!」
わたしは野菜を届けるべくボウルを持って走った。
「え、えーーー!!?
言わなきゃわかんないってば!!」
「元気になったっぽいしいいんじゃない?」
．
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作者名：みすと | 作成日時：2019年1月24日 23時
