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Side.Kei
それぞれの部屋を回って生徒にキャンディーを渡しながら質問に答えていった。
一番端にある、小さめの自習室にも電気がついていたので、ノックをして入る。
窓に向けてつけられている机には、見慣れた人が向かっていた。
「…涼介、お疲れ様」
涼介は俺に気づいて、耳につけていたイヤホンを外してニコリと笑った。
「あ、お疲れ様…です」
慣れない敬語で話す涼介は、何だかたどたどしくてかわいかった。
「いつもの感じでいいよ、この部屋だったら会話は誰にも聞こえないし」
「あ、…うん、そうするね。
やっぱり慣れないよ慧ちゃんが先生って｣
シャーペンを置いて、そう言って照れくさそうに笑っていた。
｢はは、俺も涼介が生徒って慣れないよ。
……ほら、糖分補給どうぞ。好きな味選びな｣
手に持っていたキャンディーの袋を差し出すと、｢やった！｣と呟いて袋の中を覗き込んだ。
｢じゃあ……イチゴので｣
赤いパッケージの飴を取って、そのまま開けて口に入れた。
｢うま、糖分沁みる〜、ありがと慧ちゃん｣
｢どういたしまして、涼介も遅くまでお疲れ様｣
｢うん｣
その後、教室には慣れそうかだの、部活は忙しいかだの、軽く世間話をした。
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作者名：Nokka | 作成日時：2023年4月30日 23時
