狂愛【ヤンデレ短編集】 (ページ5)

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＿Aは今のうちに逃げて

突然相棒がそう言ってきた

もちろん自分は反抗した、相棒を置いて1人で逃げるなんてことできないと

＿君は彼に狙われている…今の状態じゃ君を守り切ることができないかもしれないんだ

だからお願い、と相棒は言ってきた

でも、その隙ですらあいつは見逃さなかった

視界に入ったのは、あいつの触手に首を絞められている相棒の姿

ついさっきまで自分たちよりも少し遠くにいたはずのあいつがほぼ目の前にいた

死を、覚悟した

でも、何を思ったのかあいつは相棒の方に向き直った

試したいことがあると言って

＿ずっと気になってたんだ、小筆野郎にオレの闇を移したらどうなるんだってな

歪な笑みを浮かべてた

このままでは相棒が乗っ取られてしまうと思って2人に駆け寄ろうとする

しかし、なにかで足を固定されていた

その正体は地面から生えたあいつの触手だった

離せと叫ぶとあいつはこっちをチラリと見て笑った

＿おまえはまたあとだ

ふんわりと笑っているはずなのに恐怖を感じた

例えるなら砂糖を煮詰めたような、そんなものだった

『っ…………』

その目を直に見てしまい、思わず体が固まった

あいつは相棒に顔を向け直す

その時にはもうあの目じゃなかったけど、フラッシュバックして動くことはできなかった

その間にも相棒はあいつに侵食されかけていた

相棒の名前を叫ぶ

しかし触手のせいで動けない

こんなにもどかしいと思ったことはなかった

その時、相棒がこちらを向いて

＿ごめんね、A

笑った

『Inkっ！！！』

目の前にいるのは相棒じゃない

確かに所々相棒だったんだなって言うところはある

でも、纏う雰囲気が全然違かった

筆は歪み体はGOOPに覆われた“元”相棒がそこにいた

『っ…………』

怖かった、ただただ

脳がとにかく混乱した

見た目は相棒なのに雰囲気はあいつそっくりだった

元相棒がこっちをゆっくりと振り返った

目が、合った

また、あの目だった