Nightmare_brainwashing ページ1
*暗い森の中を駆け抜ける影がひとつ
『はっ、はっ…っ!』
逃げなきゃ
早く逃げなきゃ
せっかく兄弟が逃してくれたのに…
『っ…ここで、捕まるわけにはいかないっ』
折れた大木から背を向けて走る
兄弟はどうなったのだろう
作り出された時からずっと一緒にいた兄弟を見捨てるのは心が痛かった
でも、兄弟が泣いていた
_君が死んでしまったら……ボクはそれに耐えられない
そう言って泣きながら自分のことを抱きしめた
その涙を見てなお残ろうとすることは、できなかった
兄弟から離れ、豹変していく兄弟を横目に、自分は森へ走り出した
変わっていく兄弟と目があったのは自分への罪の意識を植え付けるため?
考えすぎだろうか……きっと違うな
ふと目線を遠くに向けるとそこには人間たちが住む街があった
でも、その姿はいつも見ているような綺麗な街ではなかった
街が、赤く染まっていた
火で赤く染まってるわけではなかった
赤の正体は“血”だった
1人の量ではない
何百人もの血が街を赤く染めていた
『……なおさら、逃げなきゃ』
弱気になりかけていた気持ちを引き締めて、またスピードをあげようとした
「全くオマエは薄情だな?A」
足がもつれて地面に倒れかける
その体を黒い触手が掴み、地面に倒れることはなかった
それは後ろに立っている兄弟の体から生えているものだった
『っ離せ!!』
「そんなに怒るなよ。何、別にオレはオマエを殺すつもりはないぜ?」
『は?』
意味がわからない、自分を殺すために捕まえたんじゃないのか
「He、ポジティブ野郎じゃねえんだ。そんなわけないだろ。まぁ、アイツは今頃石になって動けないだろうけどな」
兄弟とは思えないほどのその狂気に満ちたそれに、殺意が湧いた
なんとなくわかっていた、これは別人だ
コイツは、あの優しかった兄弟ではない
『いつか……殺してやるっ……!』
「ネガティブな感情を取り込んだオレを殺せるといいな?」ニヤリ
話がそれた、と兄弟は自分を引き寄せる
自分と兄弟の目が合う
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マスタード(プロフ) - 待ってめちゃんこ好み…更新頑張ってください!! (2023年3月1日 15時) (レス) @page8 id: 939cd7d5e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暇人の暇人 | 作成日時:2023年2月12日 23時