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「遺言、聞いたってもええで」
「上からだね全く、お嬢様ぞ」
俺に背を向けて寝転ぶ。普通に度胸あんねんな。俺が撃たないと思うとるんか。
撃つと確信しているからこそ、諦めているのか。
「んー、マジで恋愛向いてないよね私」
「せやな」
過去に1度、Aは男に騙されている。
深く傷ついたAに俺が「もう傷つかんでええよ」と盛大な嘘をついた。
残念やったな。こればかりは少々、心が痛い。
「ホントにだからいい機会だよ、私お嬢様向いてないんだよ、先天的なサガはどうしようもないってね」
「おん」
「ましてや最期に見られんのがアンタの顔なら文句なしの人生よ、私の行いじゃ地獄に行きそうもないしもう二度と会わんからね、バイビー」
こっちを見ないままひらひら手を振った。
ここまで肝が据わっているとは。脱帽、やな。
「俺も殺し屋向いてへんかもな」
前に回り込んでしゃがむ。
人間の命を奪う仕事をする上で、破ってはいけないルールはいくつか存在する。
たとえば、好きになってはいけなかった。
「何？死に際の人間に人生相談しないでくれます？」
「せやんな」
「そんな思い詰めてんの？父ちゃんに相談すれば？殺されると思うけどね」
それでもやらんとあかんねん、俺。
「じゃな、楽しかったで」
「それ嘘？最期に本当のこと言って殺してちょうだいよ」
「ホンマに、幸せやった」
お前といる時間は幸せやったよ、心から幸せやった。
幸せやってん、本気で。
頭の中で描いていた理想像は、大抵の場合現実には現れないモノ。
俺がお前とバージンロードを歩く夢は、幻想から出てくることはなかった。
「本名教えてくんない？」
「今回ばっかりは本名やで」
「ああそう、別に興味あるわけじゃないけどね。なんとなくアンタと籍入れる気で居たわ。惨め惨め」
「最期の言葉それでええんか？」
「ううん？愛してるよ、ゾム」
涙があふれる前に、引き金を引いた。
俺も愛してる、が言えない仕事。
言いたかった、せめて伝えたかった、最期くらい幸せでいて欲しかった。
撃ち抜いた頭を手で抑えて固定すれば、穏やかな笑みが見えた気がした。
もう息をしていない俺の幸せそのものを、抱きしめる。
確かに愛情を憶えた。
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さかなしょこじゅん - 令霊さん» ありがとうございます！！！！！とっても嬉しいです。ぼちぼちまた更新してまいります！！！ (5月7日 21時) (
レス) @page32 id: 2941b15b39 (このIDを非表示/違反報告)
令霊(プロフ) - 前作のしきからずっと大好きな作品です。気が向いた時にでものんびり更新してくださると嬉しいです。 (5月5日 23時) (レス) @page11 id: 3183f8a143 (このIDを非表示/違反報告)
さかなしょこじゅん - 田中さん» 思った以上に想像で補って頂けて嬉しいです！笑 分かります、具体的に何がいいかって聞かれるとわかんないんですけどなんかいいですよね。なんか。 (11月24日 7時) (レス) id: 2941b15b39 (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - ciくんのやつで主ちゃんが56されちゃったあとに、スパイが発見されて優秀なコマがひとつ減らされることまでが計画的犯行だったとか、あと数日56すのを待てば助かったのかとか自責の念でciは苛まれて欲しいですね…、そういうの好きです^_^ (11月24日 2時) (レス) @page11 id: d6054e066b (このIDを非表示/違反報告)
さかなしょこじゅん - なんも思いつかねえ (11月21日 0時) (レス) id: 2941b15b39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかなしょこじゅん | 作成日時：2023年11月11日 0時
