〃 ページ11
「えッ、な、なんでぇ〜…？」
どうしてこうなってしまったんだ。
どうやら私によく似た工作員のデータが見つかったらしく、スパイ容疑がかかってしまったようで。先日奇襲に遭った敏感な我が軍は直ぐに私の処刑を決めた。
処刑と言っても、私は大層な人間じゃないし、一室でスッと切り捨てられるようだ。
なんて不憫なんだ、死ぬのだけは嫌だったのに。
この軍に入って、チーノさんに惚れて尽くして、どんなに痛い目に遭ってもいじめられても絶対頑張っていこうと思っていて。チーノさんに結婚して貰えるまで。
でも死ぬのは怖い。本当に怖い。
拷問されると思ったけど、私に似た他国の工作員は鋼のメンタル、つよつよ女さんだったようで無駄だとみなされて本当にスっと殺られるみたいだ。
「失礼しまーす」
「…！」
死刑執行人が部屋に入ってくる。
あれ、若干高めの可愛らしいこの声は。
「チーノさん！！」
「Aちゃーん」
助かった、と確信した。
だって私たち両思いだもん、絶対助けてくれるしかばってくれる。
安堵で涙がまた溢れてすがるように言った。
「無実なんですよぉ〜、助けて…！チーノさん！」
「んー？どういうこと」
「私じゃないんですその工作員」
「でも情報流したの君やろ？」
「違うんですって！！」
ところどころ嗚咽混じりに説明すれば、「なるほどなあ」と顎に手を当ててチーノさんは頷いた。
「うん、それで？」
「…え？」
「野放しにしとくのもアカンやろその程度の証言で。俺言う事聞かん駒はいらんかな」
「駒…え？え、チーノさん？」
「ん〜？」
駒？
言う事聞かん、駒？
「私、特別なんじゃ…ないんすか」
「せやで？特別な、駒。ああ、流石に俺らと同等の価値があるとは思ってへんよ」
「な、なんで」
「なんでもなにも、君は俺の言う通りに動けば特別扱いしてもらったんやから幸せやったでしょ」
これで満足でしょう、って顔で私を見下ろした。
なんで？全部、私のためにしたことなんてひとつもないの。
「そんな、なんで」
「なんでなんで言わんといて？今までありがとうな、素直な子は好きやで」
ああ、最後に聞けた言葉が、
これで良かったのか悪かったのか、分からない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
胸糞悪すぎるんですね。ごめんなさい。
この後Ciさんが愛情に気づいて泣き崩れるのを想像で補ってください。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 108人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さかなしょこじゅん - 令霊さん» ありがとうございます！！！！！とっても嬉しいです。ぼちぼちまた更新してまいります！！！ (5月7日 21時) (
レス) @page32 id: 2941b15b39 (このIDを非表示/違反報告)
令霊(プロフ) - 前作のしきからずっと大好きな作品です。気が向いた時にでものんびり更新してくださると嬉しいです。 (5月5日 23時) (レス) @page11 id: 3183f8a143 (このIDを非表示/違反報告)
さかなしょこじゅん - 田中さん» 思った以上に想像で補って頂けて嬉しいです！笑 分かります、具体的に何がいいかって聞かれるとわかんないんですけどなんかいいですよね。なんか。 (11月24日 7時) (レス) id: 2941b15b39 (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - ciくんのやつで主ちゃんが56されちゃったあとに、スパイが発見されて優秀なコマがひとつ減らされることまでが計画的犯行だったとか、あと数日56すのを待てば助かったのかとか自責の念でciは苛まれて欲しいですね…、そういうの好きです^_^ (11月24日 2時) (レス) @page11 id: d6054e066b (このIDを非表示/違反報告)
さかなしょこじゅん - なんも思いつかねえ (11月21日 0時) (レス) id: 2941b15b39 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さかなしょこじゅん | 作成日時：2023年11月11日 0時
