6 ページ8
「おお、A、こっちだ」
「硝子！1週間ぶりだね。元気だった？」
「おかげさまで激務だ」
メールを見ると硝子が先に入っていることが分かったので、目的のお店に入り硝子が飲んでいる正面に座る。
もう硝子は何杯かワインを飲んでいるようで、机の上にはもうグラスが何本か置いてある。
私がいない間、相当酷使されたであろう硝子は乾いた笑いを浮かべていた。
「ごめんね、やっぱ海外の任務蹴ればよかった」
「いや良い。クズ共が好き勝手やれてるのはAのおかげだしな」
「あっ！そうだ。そのお詫びと言ってはなんだけど、硝子にも休日取ってきたよ」
顔の隣で手を合わせて上層部に報告行くついでに硝子に1週間休日貰ってきた、と言う。
そしたら思ったより休日が長くて驚いたのか、直談判して取りに行ったのに驚いたのかぽかんと口を開けている。
「1週間も分取ってきた？A、何を対価に差し出した」
「大丈夫だって、そんな怖い顔しないでよ。ただ、私を海外に送って置いてあっちの都合で呼び寄せたことに文句を言っただけ」
硝子にヘラヘラと手を振って見せる。そんな心配しなくても特に対価を差し出すつもりはないんだけどな。いざとなれば私は自分の身を守れるし。
それに私に愚痴やら溢すのは一向に構わないけれど、硝子が無能だとか、私の可愛い子を馬鹿にしたのは許さない。3人への侮辱は私への侮辱と一緒だ。
「だから明日から硝子は休みだよ。よかったらその1週間のうち、1日私にちょうだい？今度は硝子の好きなお店に食べに行きたいな」
「いいぞ。Aは本当に調子がいいな。まあそういうところも好きだが」
「ふふ、ありがとう。さて、何食べようかなぁ」
久しぶりに硝子と2人きりで食事を楽しめた。普段はアルコールを飲まないけど、硝子の付き合いで1杯だけ飲んで3時間程の時間を満喫して、帰路に着く。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。気づいたらもう玄関の前に立っていて、鍵を差し込んで静かにドアを開けると、そこには傑と悟がいた。
「あぁ、Aだぁ！おかえりなさい。ずっと良い子で待ってたんだよ。褒めて！」
「....！A、おかえり。ねぇ、言われた通りお利口さんにしていたよ。撫でてくれる？」
私の姿が見えるなり、先程まで泣いていたのが嘘だったかのように笑顔を浮かべて、またいつかのように迎えてくれる。
変わったのは年齢だけ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1741人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆかり(プロフ) - 次の作品のパスワード見たいので教えてください！ (3月30日 23時) (
レス) id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
♡ - 私と手を繋ぐこと許してあげるとか夢主何様だよ爆笑 (3月8日 23時) (レス) @page6 id: 4a3a97ff3f (このIDを非表示/違反報告)
花ノ園(プロフ) - てんごくさん» 当方の作品を読んでくださりありがとうございます！まだまだ更新していくので今後ともよろしくお願い致します！真理に気付いてしまうとは、さては色々な作品を読み込んでおられますね？ (3月5日 17時) (レス) id: e5dd021f40 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - 花ノ園様!!!わたくしはｯ、貴方のお陰でｯ性癖が捻れに捻じ曲がってなんかもう、大変な事になっております本当に!!!元々、こういうのは、好きだったのですが…!この、神作を見てｯ(これの前作読んだ後花ノ園様の作品を読み漁りました、幸せでした。）真理に気付きました (3月5日 16時) (レス) @page14 id: d31d16bd17 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ園(プロフ) - ふじさん» 続編が約2年後という超重鎮出勤で申し訳ないです....ページたっぷりで更新して行く予定なので、今後ともよろしくお願いします！ (3月5日 15時) (レス) id: e5dd021f40 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
