私の愛しい忠犬共【夏油傑】【五条悟】

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「晴れになってよかったね」



「そうだな。台風が直撃する予定だったが、さすがは晴れ女」






現在は2日後の夜。



硝子に取り付けた休みの日だ。私たちは4人でプチ温泉旅行をしている。今はみんなで夕飯を食べ始めようと、机を囲んだところだった。



ここには4人しかいないので、私もノリノリで日本酒のボトルを開ける。隣に硝子、正面に傑、その隣に悟が座っている。







「ところで、会員制のリゾートなんて羽振りがいいな。Aはどこの出だったか」



「残念。私も傑と硝子と同じ一般家庭出身だよ。ここはそうだな、まあ冥冥に良くしてもらっただけ」






同じくビールのボトルを片手にお造りをつまんでいる硝子と、だし巻き卵を食べて寛ぐ私の話は大抵こうやって揶揄いあうことが多い。



前に行った店がどうだったとか、夜勤がキツかっただとか、そんな平凡な話をする。そんな時、硝子は私の薬指に視線を向け、優しげに目を閉じた。








「クズどもは、やっとお前にそれを渡せたんだな」



「硝子が選ぶの手伝ってくれたんだってね。ありがとう」



「同然だろ。親友にダサい指輪を贈られたんじゃたまったもんじゃない」







指輪を買うのに1年悩んだという。そこから私の手に渡るまで10年の月日が経っていた。硝子は悪態をついているけど、2人に親身に付き合ってくれたのだろう。



指輪に視線を移しそれを撫でていれば、斜め前で頭をぶつけた鈍い音がした。パッと目を向ければグラスを手にしたまま、机に突っ伏す悟。







「五条、お前なぁ」



「いいじゃん。4人水入らずなんだし。悟もたまにはお酒飲みたいもんね。こっちにおいで」



「うん！」






呆れたように悟を見る硝子を宥め、悟を呼ぶ。一口飲んだだけで酔った悟は、ふらふらしながらも嬉しそうに私に抱きついた。






「傑もおいで」



「....！」







隣に悟もいなくなり反対側に取り残された傑は寂しそうな顔を浮かべている。当然、傑も呼んで私の膝の上をぽんぽんと叩いて頭を乗せてもらった。



そして、悟と傑の額に手を当てて反転術式を施す。








「やはりAはこいつらに甘いな」



「そうかな？普通だと思うよ」



「普通は二日酔いの心配如きで反転術式なんて使わない。それに、指輪だって受け取るつもりだったんだろ」



「もちろん。遠い昔に約束したからね」



「律儀なやつだな」







何度も繰り返した会話を硝子とまた繰り返す。



今度こそ幸せに。

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