15 ページ17
私たちは正式に恋人になった。特に私の口から言った日の2人は、ずっと小さく鈴を鳴らして幸せそうに笑った。
その余韻に浸るように敷いてあるカーペットの上に座り込んで、ベッドの上に腰掛ける私の膝にずっと擦り寄っている。
私の手をにぎにぎと握ったり、私に頭を撫でてもらえるよう催促したり、キスをねだったり。それなりに満足したのかしばらくすると私の膝に頬擦りをして、静かに目を閉じている。
別に寝ているわけではない。この2人はこの安心感と込み上げる幸福感に浸っている。
「A、好きぃ」
「うん、私もだよ悟」
「....愛してる。＿＿えへへ、やっとAに言えた」
水飴のように瞳をとろとろをさせて、目を細めながら愛してると私に初めて言った悟。
次に、
「Aが僕と付き合ってくれてるって分かったから。分かんなかった時は重いかなって思って言わなかったけど、やっと言えた」
僕の夢が叶った。とまるで天女のように微笑んだ。本当にちっぽけな夢。それ以外には無いのかと問えば、歯切れ悪く無いと答える。
「そう」
「あっ、あの、その....、僕、Aと付き合えてるって事実だけでもう充分幸せなの！A以外に僕を愛してくれる人なんて一生現れないと思うから」
「それ以上は望まないの？」
「うん。知ってるでしょ？僕は弱虫だから、Aに捨てられたら生きていけない。Aが傍にいてくれたらもうなんでもいい」
今度は悟が膝立ちになって、長い腕で私の腰に抱きついた。ぐりぐりと顔を私の腹に押し付けて、私の匂いをゆっくりと吸って深呼吸をする。
それ以降、悟は私に顔を埋めたまま、寝息をたて始める。安心して眠ったのか、それとも＿＿＿。
視線を感じて眠った悟の頭に手を置いてから、目を移せば私を見つめている傑と目が合った。
すると、傑は私と目が合って嬉しかったのかパッと口角を上げる。笑うと更に可愛い顔。切れ長の目が喜びを表すように皺を作った。
「A！私もAのこと、好きだよ」
「傑も言ってくれるの、ありがとう。私も傑のこと好きだよ」
「これで両想いだね」
私の指先を握って、いつもより一層優しい声で返事が返ってくる。傑がとても緊張している声。私以外の誰かと話す時の声だ。
何を思ったのか、だんだん傑の顔が赤く染まってきて、またぎゅっと目を瞑る。私の手を握っていない方の手も心なしか赤くなっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1741人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆかり(プロフ) - 次の作品のパスワード見たいので教えてください！ (3月30日 23時) (
レス) id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
♡ - 私と手を繋ぐこと許してあげるとか夢主何様だよ爆笑 (3月8日 23時) (レス) @page6 id: 4a3a97ff3f (このIDを非表示/違反報告)
花ノ園(プロフ) - てんごくさん» 当方の作品を読んでくださりありがとうございます！まだまだ更新していくので今後ともよろしくお願い致します！真理に気付いてしまうとは、さては色々な作品を読み込んでおられますね？ (3月5日 17時) (レス) id: e5dd021f40 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - 花ノ園様!!!わたくしはｯ、貴方のお陰でｯ性癖が捻れに捻じ曲がってなんかもう、大変な事になっております本当に!!!元々、こういうのは、好きだったのですが…!この、神作を見てｯ(これの前作読んだ後花ノ園様の作品を読み漁りました、幸せでした。）真理に気付きました (3月5日 16時) (レス) @page14 id: d31d16bd17 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ園(プロフ) - ふじさん» 続編が約2年後という超重鎮出勤で申し訳ないです....ページたっぷりで更新して行く予定なので、今後ともよろしくお願いします！ (3月5日 15時) (レス) id: e5dd021f40 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
