14 ページ16
私の目の前で百面相をする2人。人が変わったみたいだ、という印象はやはり間違っていなかった。
許可なく腰や肩に手を回したという自覚が本人達にもあるらしい。その行動を"気持ち悪い"と自己評価しているのだから、それか確たる証拠だ。
私は軽く口角を上げて小さく笑う。
「10歳も下の生徒に取られたくなくて必死だったんでしょ。ちゃんと分かってるよ」
「でも、き、気持ち悪かったでしょ？じ、自分の生徒に嫉妬して....」
「んー、付き合ってるんだから、恋人の腰に手を回すのは間違ってないよ」
「僕はAの肩に腕回しちゃったよ。それは恋人でもやらないじゃん」
「確かに、肩を組んだりはしないけど、牽制したかったんでしょ。それも付き合ってるなら当然の行動だと思うよ」
あくまで傑と悟の懺悔のような言葉に軽い口調で答える。"恋人はこういうものですよ"と、遠回しに教えているのだ。
傑も悟に生徒に嫉妬心を抱くのも、私に強く独占欲を抱えるのも当然のことだと頭に教え込む。普通を知らない2人は私の言葉を強く過信して、これを普通だと信じて疑わない。
10年以上、私たちは傍にいた。この2人が望んだようにずっと。だからこそ、この子たちの思考は完全に私のものになっていた。
きっと今、この子達の中にあるであろう言葉は、私の口から出された、"恋人"、"付き合っている"。この言葉は私に会ってから1番求めていた甘い言葉。
私はこの子達の頬に手を添えた後、耳たぶに触れて撫でる。すると2人の身体がビクンと跳ねて、その場にへたり込んだ。
「そんな私に付き合ってるって言われて嬉しかったの？耳たぶ、ずっと真っ赤だったよ」
そう耳元で囁かれて、2人は涙目になる。この距離でも分かるほど、鼓動が飛び跳ねているのが分かってしまう。
「だって、今までずっと捨てられないか心配だったんだ。そしたらAが付き合ってるって言ってくれて、安心したらAが恋しくなって＿＿＿」
「ああ、だから傑、胸の辺りずっと庇ってたんだ。傑は胸が弱いから、恋しくなると1人で触っちゃうもんね」
「う、....ん」
私のせいで身体が敏感になったから、毎日丁寧に絆創膏貼ってるんだもんね、なんて傑を揶揄う。
「悟も今日は脚技少なかったもんね。そんなにお腹に入るの期待してたの？」
「Aが、期待させるのが悪いでしょ....」
と、私が意地悪な顔をするとその姿が悟の瞳に反射して見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1742人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆかり(プロフ) - 次の作品のパスワード見たいので教えてください！ (3月30日 23時) (
レス) id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
♡ - 私と手を繋ぐこと許してあげるとか夢主何様だよ爆笑 (3月8日 23時) (レス) @page6 id: 4a3a97ff3f (このIDを非表示/違反報告)
花ノ園(プロフ) - てんごくさん» 当方の作品を読んでくださりありがとうございます！まだまだ更新していくので今後ともよろしくお願い致します！真理に気付いてしまうとは、さては色々な作品を読み込んでおられますね？ (3月5日 17時) (レス) id: e5dd021f40 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - 花ノ園様!!!わたくしはｯ、貴方のお陰でｯ性癖が捻れに捻じ曲がってなんかもう、大変な事になっております本当に!!!元々、こういうのは、好きだったのですが…!この、神作を見てｯ(これの前作読んだ後花ノ園様の作品を読み漁りました、幸せでした。）真理に気付きました (3月5日 16時) (レス) @page14 id: d31d16bd17 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ園(プロフ) - ふじさん» 続編が約2年後という超重鎮出勤で申し訳ないです....ページたっぷりで更新して行く予定なので、今後ともよろしくお願いします！ (3月5日 15時) (レス) id: e5dd021f40 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
