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人が変わった悟に肩を組まれ、傑には腰に手を回されて、生徒の前で自己紹介をする。
私が生徒に笑いかければ、純粋そうな子が私たちに聞いた。
「ねー、1個聞いてもいーい?」
「どうぞ」
「皇先生は五条先生と夏油先生と付き合ってんの?」
ごく普通に不思議そうに。その赤いフードの子はこてんと首を傾けた。純粋すぎる質問に思わず笑いそうになる。
そんなの此処での回答はたった1つに定まっているに決まってる。
「それは、__」
「私たちは、__」
それぞれ何かを口に出そうとする2人の言葉をわざと遮り、
「そうだよ。私たち付き合ってるんだ。傑も悟も私のだから取っちゃダメだよ」
と2人の腕を抱きしめて言った。2人の顔を少しだけ見れば、驚きと喜びが混じり合った顔をする。きっと感情が溢れてしまったのだろう。
今、初めて私の口から2人と付き合ってる。と言ったのだ。今まではずっと2人が付き合ってるとだけ言っていた。
でも私があまりにも付き合っていると言わないから、次第に何も言わなくなってしまった。この子達は、泣きつく時も別れについて口に出さなくなった。
だからこそ、衝撃を受けるほど嬉しいのだろうね。
「五条先生も夏油先生もさ、皇先生がこうやって先生として来てくれること、すっげぇ嬉しそうに喋ってたんだ」
「へぇ。まあ海外任務とか色々飛ばされたりしてたから、マトモに高専にいなかったしね。今回も雑用みたいなものだけど」
「?皇先生は私たちの何かの担当とかではないの?」
「んー。上からこの問題児たちを監視しろとしか言われてないから特に。敢えて言うなら硝子みたいに治療する役かな」
目の下に傷がある子に続き、その子の隣にいた茶髪の女の子の質問にも答える。そして戦闘員ではないから、期待しないでね。とも言った。
あまり面倒ごとは好きではないから、限定した言葉で伝える。この質問で特に関心がなくなったのか、有難いことに暇になった。
その後、木陰に腰掛けながら授業をする2人を眺め、全ての授業が終わるまで待った。チャイムが鳴るなり、2人が私の元へ駆け寄ってくる。
「A、授業つまらなかった?」
「私の知らない2人のこと見れて面白かったよ?」
「人が変わってて気持ち悪く思わなかった?....Aの腰に手を回しちゃったし」
私の顔を覗き込んで、しょぼんと肩を下げる。大丈夫、牽制する為にやったの知ってるよ。
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ゆかり(プロフ) - 次の作品のパスワード見たいので教えてください! (3月30日 23時) (レス) id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
♡ - 私と手を繋ぐこと許してあげるとか夢主何様だよ爆笑 (3月8日 23時) (レス) @page6 id: 4a3a97ff3f (このIDを非表示/違反報告)
花ノ園(プロフ) - てんごくさん» 当方の作品を読んでくださりありがとうございます!まだまだ更新していくので今後ともよろしくお願い致します!真理に気付いてしまうとは、さては色々な作品を読み込んでおられますね? (3月5日 17時) (レス) id: e5dd021f40 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - 花ノ園様!!!わたくしはッ、貴方のお陰でッ性癖が捻れに捻じ曲がってなんかもう、大変な事になっております本当に!!!元々、こういうのは、好きだったのですが…!この、神作を見てッ(これの前作読んだ後花ノ園様の作品を読み漁りました、幸せでした。)真理に気付きました (3月5日 16時) (レス) @page14 id: d31d16bd17 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ園(プロフ) - ふじさん» 続編が約2年後という超重鎮出勤で申し訳ないです....ページたっぷりで更新して行く予定なので、今後ともよろしくお願いします! (3月5日 15時) (レス) id: e5dd021f40 (このIDを非表示/違反報告)
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