友達の作り方 (ページ11)

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お願い(ネタバレ注意) ページ11

異聞帯(ロストベルト)、アトランティス
私達は海の神(ポセイドン)の核を壊した。
これでもう、後は逃げるだけなんだ。
そう思っていた。

イアソンと、マシュと一緒にボーダーに乗って
後はここを脱出するだけ……
私は「逃げよう」と言う為にイアソンの方へ向こうとした瞬間に彼は「急に休む」等と言い出した。

「あーもう疲れた！
あーもう二度とやらねー！」

それを聞いて私はなんだか酷く胸が傷んだ気がした
なんで、一緒に逃げようよ。
どうして、一緒に生きてよ

____友人として、私の旅路を支えてよ。

「ほら、さっさと行け！
ひとりっきりで存分に休ませろ！」

彼は一瞬だけ私を見遣るも直ぐに目を逸らしては
まるで皮肉を言うかのようにそう言った。
なんで、と思考を巡らすも私には分からなかった

けれどその理解できない点だけはすぐに理解出来た
私の勘が間違いではなければきっと彼は ”それ” を見越して言っているのだろう。

嗚呼！なんて君は愚かな英霊なのだろうか！
君は生きたい癖に、死にたくない癖に

それでも尚、私達に着いてきてくれたのだろう
きっとそれは彼女(魔女)から掛けられた呪い(お守り)だから
それを彼なりに考えて使ったに違いない。

「イアソン！」

「あん？」

私は思わず彼を抱き締めた。
これが私なりの彼への敬意と感謝の表し方なのだ

「……苦しいんだが。
つーか、モタモタするなよ。」

彼は少し動揺した後にいつもの声色でそう言った。
私はそれに溢れ出してしまいそうな涙を堪えながら
私は大きく息を吸って口を開く

「ありがとうｯ……！」

たったの五文字、私は彼にそう言えただけで満足だ
彼はそれに鬱陶しがるように少し表情を歪めた。

「鬱陶しい、賛美の声なんざ聞き飽きてる。
シッシッ。」

なんて呆れたように言うもんだから
「相変わらずだなぁ」と思い少し笑ってしまった。

「イアソンさ________マスター？」

マシュが私を呼ぶ。
けれども、私はもう一度だけ彼と向き合い
改めて、こう口にした

「いつかまた！」

そう言った時の
彼の表情はどこか慈愛に満ちたような表情だった。
私達は彼に背を向けてボーダーまで走っていく

「あー…………………………
死ぬかと、思った。」

彼が、どうなったのかは知らない。
けど願わくばこの先彼に幸福が訪れることを願いたい
堪えていた筈の涙が溢れながら私はボーダーに戻る

「彼と、もっと旅をしたかったなぁ」

そんなことを無意識にも呟いた