チャリ恋 (ページ4)

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今日の休憩時間は臣さんの観察が出来なかった(泣)

『A！これ運んで？窓際の2番』

『あ…うん』

私と一緒にホール係をしているバイトくん。
岩田剛典。
可愛い笑顔とは真逆で、社員を顎で使うバイトくん。

『お待たせしました』

２番テーブルに臣さん渾身のコーヒーを運んでギョッとする。

『Aちゃん、こんにちは』

『こんにちは…ごゆっくりどうぞ』

カウンターに戻ろうとしたら手を握られた。

『そろそろ連絡先教えてくれてもいいじゃん。
俺、お得意様だよ？』

『い、いつもありがとうございます。
でも、連絡先はちょっと……』

この２番テーブルのお客様は、半年程前から通い始めて、こうして私にムダ絡みしてくるリーマン。
真っ昼間に何してんだか…
夜ならいいってわけじゃなくて、ここで時間潰してる暇あったら契約の１つでも取ってこいよ！
とか思いつつ、愛想笑いを浮かべるしか出来ない。

『お客様、うちはそういう店じゃないんで…』

そして臣さんがカウンターから出てきてくれて助けてくれるの。

直人さんは何してるのかって？

直人さんが居ない時にこういう事言ってくるの。
ほんと卑怯なヤツ

臣さんに背中を押されてカウンターに戻ってきた。

『岩ちゃん、あの客んとこにA行かせんなよ(怒)』

『え？あぁ、すみません』

岩田くんは、だいたい夜に入ってる事が多くて、あのお客様の事あんまり知らないんだよね。

ここは、朝から夕方まではカフェで、夜はバーになる。

私と臣さんは、昼メインのシフトで、夜は岩田くんと隆二さんっていうバーテンさんがメイン。

たまーに入れ替わる事があるくらい。

『でも、あの客変わってるよな？A目当てなんて(笑)』

おかしそうにククッと笑う岩田くんを睨み付ける。

年下のくせに呼び捨てだし、何かとバカにしてくるからムカつく！

『Aのいいとこがわかんねぇお前がお子ちゃまなんだよ(笑)』

臣さんがフォローしてくれて蕩けそうになる。