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二人で手を合わせて、出来上がった肉じゃがをたべて、その後はソファーでコーヒーを飲む。
『そろそろ帰ろかな…明日仕事やし』
『…はい』
『なんや、怖いんか?』
『…ううん』
すっかり忘れてました。キモ男。
『可愛いな…』
健二郎さんは、その言葉と同時に私を抱き締めてくれる。
そっとそっと大きな背中に手を回す。
『明日も会えるからな』
うんって頷くと、耳元で健二郎さんが囁いた。
『こっち向いて』
上目遣いでチラっと…見ると、弧を描く唇が見えた。
健二郎さんが顎で私のオデコを上に向ける。
バチっと目が合って
『好きやで…』
その言葉を合図に、ゆっくり近付いてくる
それに合わせて眼を閉じた時、私の唇に柔らかい感触がした。
帰って欲しくないってオーラをムンムン出してるけど、健二郎さんは苦笑いしながら帰っていった。
.
.
.
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『はぁぁぁぁん』
翌朝、出勤して定位置のカウンターに突っ伏して余韻に浸る。
だって、昨日の夜、一旦帰った健二郎さんが
あんな顔されたら1人でおらされへん
って、着替えを持ってもう一度来てくれたんだもん。
『何やってんの?(笑)』
臣さんが、カウンターの中でサイフォンの準備をしながら笑ってる。
『臣さーーーん』
『ん?』
『幸せ〜』
『は?(笑)』
もう洗いざらい喋ってしまいたいけど恥ずかしいし……
『はぁぁぁぁん』
『んだよ(笑)気持ち悪ぃな』
健二郎さーん、臣さんが気持ち悪いって言ったよー
心の中で健二郎さんに話しかけてると、後ろから頭をペシっと叩かれた。
『Aちゃん、開店準備して!』
腰に手を当てた直人さんが怒ってた。
『はーーーい』
よっこらしょっての立ち上がって、ぎこちなく歩いて開店準備をする。
『A歩き方おかしくね?(笑)』
『昨日、サイクリングしたんですぅ、健二郎さんと』
そう言うと、臣さんがニヤリと笑った。
『あー、それでもさっきの…なるほどね。良かったじゃん(笑)』
『はい!』
ニンマリ笑うと、話についてこれてない直人さんが、なに?なに?って騒いでた。
さっき頭叩いたから教えない(笑)
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作者名:花梨 | 作成日時:2018年10月1日 0時