チャリ恋 (ページ17)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:60,733 hit

017 ページ17

私がらぶちゃんを押して、健二郎さんが私の隣を歩いてる。

自転車で20分程の距離。
歩いて帰るとなると、それなりに時間はかかる。

『健二郎さん、ほんとにごめんなさい。
私、ご迷惑ばっかりかけて…』

『もうその話はすんだやろー？(笑)』

『でもぉー、遅くなりますから』

『俺、前までバス通勤やってんけど、会社でもデスクワークやし、運動不足やから自転車にしててんよ。そやから今日は自転車やなくてウォーキングやと思ったらええやん？(笑)』

背の高い健二郎さんは、ニコニコ笑いながら私を見下ろしている。

こんなに優しい人…

モテるんだろうなぁー

『いや、そうでもないねん(苦笑)』

え？

『聞こえました？』

『うん。バッチリ(笑)』

私達は顔を見合わせてエヘヘと笑った。

『健二郎さんって、お仕事何されてるんですか？』

『あー、病院に勤めてる』

『お医者さん！？だからあのマンション？』

『残念ながら医者ちゃうねん』

健二郎さんは、ポリポリっと頭を掻いている。

『総合病院の事務や』

『事務！？受け付けとか？』

『受け付けは若い女の子の方がええやろ？(笑)
俺は後ろの方に座ってんねん』

『へぇー』

急に興味なしかいっ！って笑ってる。
そんな事ないです

『どんなお仕事なのか想像出来ないもん』

『えっとなー』

健二郎さんは、歩きながら無知な私に、レセプトがどうとか、小難しいお仕事の内容を教えてくれた。

『よくわかんないけど、難しそう』

『難しくはないけど…地味やな』

『そんな事ないですよ』

『あるある』

一時間近く歩いてやっと着いた。

『ありがとうございました』

『おん。明日も今日ぐらいに迎えに行くわ』

健二郎さんは私の返事を待たずに帰ってしまった。