壊れかけの世界に呼ばれし神の愛し子３【まほやく】 (ページ48)

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143話ページ48

ミスラは何がおかしかったのかふいに笑った。

ミスラ「あはは。」

屈託のない、少年みたいな笑顔だ。
予想もしなかった表情に目を奪われた。

楽しげにミスラが首を揺らす。

ミスラ「お安い御用です。オズも最初からそう言えばいいのに。
賢者様からのお願いだと…随分可愛らしいお願いですけど。」

『ねぇミスラ、オズはなんて言ったの？』

ミスラ「私に従えと。
まあ、殺し合いになりましたよ。本当に腹が立つ人ですよね。」

脂でべとべとの手でミスラが長い前髪をかきあげようとする。

Aは急いでその手を掴み、すぐそばにあったナプキンを持った。

『髪に油がつくよ？』

ミスラ「何か問題がありますか?」

『髪の毛が固まって、手が気持ち悪いと思うんだけど？』

ミスラ「なりませんけど。まあ、あなたが言うならやりますけど。」

『手、出して…』

Aはミスラの手をナプキンで丁寧に拭いて行く。
本当に指長いなぁ、羨ましいなぁと思いながら拭いた。

『ほら、口元も…顔はいいんだから、勿体ない』

不思議そうにしながら、ミスラはナフキンで唇と口元をしれっとAに拭かれていた。

そして何故か、双子は感動していた。

スノウ「大人しく口元を拭われているミスラの姿が見られるとはのう......。」

ホワイト「長生きはするものじゃ......。ていうか、ずるいぞミスラ！

スノウ「そうじゃ！賢者ちゃんに世話を焼かれてるのが羨ましい！」

Aは双子を見て何言ってるんだという目で見つめた。

世話を焼いているというか、昔よく雷神バアルにしてもらっていた事を自分もするようになったというだけの話である。

というか、高級料理店での優雅な食事が似合いそうなのに、ミスラは色々なことに無造作すぎる。

だから拭った傍から、装飾用の林檎を丸かじりするのを見てAは苦笑いした。