壊れかけの世界に呼ばれし神の愛し子３【まほやく】 (ページ38)

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133話ページ38

カイン「国王陛下は病気がちで、アーサー王子が戻ってくるまではあの方が政務を取り仕切っていたんだ。

冷徹な合理主義者で、才能のある者には寛容だが落ちこぼれや無能者にはとことん厳しい。

魔法なんてあやふやなものより。」

『魔法科学？』

シャイロック「西の国から生まれた美意識の欠片もない、灰色の技術ですよ。

ところで賢者様、すごく飲まれました？顔が赤いですけど。」

『あ、飲みましたね、はい。』

シャイロック「お酒が好きなら、また今度ご馳走しましょうか」

『ホント！それは是非ともお願いしたいな。所で、その魔法科学って一体何なの？』

Aは話を変えるべく、いつの間にか居たシャイロックに魔法科学について聞いた。

あからさまに話を変えたのを分かっていながらもシャイロックは説明を始める。

シャイロック「マナ石を原動力にして、科学道具で魔法を生み出すのです。」

『なら、ヒトも魔法を使えるってこと？』

シャイロック「ええ。何も犠牲を払わずに。」

冷たいため息のように、シャイロックはパイプの煙を吐き出した。

シャイロック「心も体も使わずに快適だけを生み出すなんて、一体そこに、何の快楽があるのでしょう。

私はどんな欲望も愛していますが、あまりに無粋で、怠惰で想像力に乏しい。」

シャイロックの考え方は普通のヒトとは違って興味深く、Aは聞き入った。

なんだか彼と話していると夜の大人の酒場のような雰囲気になってしまいそうでAはドギマギする。

どうやらカインも同じことを考えていたらしい。