壊れかけの世界に呼ばれし神の愛し子３【まほやく】 (ページ1)

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独白ページ1

2600年ほど前、ある女性は国の人々に崇められていた。

人々はみな、女性のことを［春と豊穣の女神フロラ様］とそう呼んだ。

女性は人々に崇められ神格化されていた。

女性も不思議に思わない。

なぜなら、女性にはその呼び方に相応しい力が、神の目があったからだ。

神の目。

それは、原神。

それは、神となる資格を持つ者。

だから、皆は女性を崇めたのだ。

女性は人々の期待に応えるべく、その国に豊穣をもたらした。

だが、いつからだろう。

いつから、忌み嫌われるようになったのだろう。

女性は一生懸命、元の関係に戻れるように、祈り、豊穣をもたらそうとした。

けれど、その国は衰え、凶作が続くようになった。

人々は皆、女性を疑い、恐れ、この国から追い出した。

女性は訳が分からい訳では無かったが、酷く悲しんだ。

女性は悲しみ、周りの草木は彼女の心の様に枯れていく。

それは、あの国も例外じゃなく、酷く衰えた。

そんなある日、魔神戦争がその国まで被害が及ぼうとした。

女性はそれに一刻も早くに気づき、彼女も魔神戦争へ自ら足を踏み入れた。

魔神戦争中に少女は気づく。

何故、あんな人々に心身ともに奮励してきたのだろうか。

何故、あんな国を支えようとしたのか。

女性は初めて、憎しみ、怒りを覚えた。

そのあとは何も覚えていない。

憎しみと怒りで力を使い果たし、女性は眠りについた。

そして、目覚めた時には何も覚えていなかった。

少女の身にあったこと、全て。

そして、自分自身のことも。