壊れかけの世界に呼ばれし神の愛し子2【まほやく】 (ページ45)

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92話ページ45

リケ「相手に触れると、見えるようになるのではないですか?」

リケの言葉にAたちは全員、彼を振り返った。

リケ「先ほど、私が触れたら目が合いました。」

『あ〜確かにそうかも。私の時もそうだった…』

アーサー「私の時もだ。」

カイン「言われてみると、そうかも…」

アーサー「対策がわかって良かったな、カイン。」

カイン「ええ。ありがとう、おまえのおかげだ。リケ｡」

カインの大きな手が無造作に、リケの頭を撫でる。

リケは大きめな目を丸くしてぎこちなく首をすくめた。

リケ「……止めてください。

神の使徒である私の体に触れられるのは、良い行いをしたものだけです。」

カイン「その神の使徒というものは何だ?」

『え、神……？』

Aは驚き目を見開いた。

リケ「私たち不思議の力を持つ者のことです。
選ばれし者に奇跡を与えるために、神が遣わされたのです。」

アーサー「聞いたことがあるな......。魔法使いを神や使徒と呼ぶ教団があると。

彼らは魔法使いを外界に出さずに、教団の奥深くに閉じ込めて、活動に協力させていると言っていた。

もしかして、リケ・・・・・・。」

リケ「外の世界は穢れていますから。私も額の穢れた刻印を消したら、教団に戻るつもりです。」

Aは残念がった。
なんだ、この世界に神はいなかったのか、と。

そしてカインとアーサー、Aは目を見合わせた。

アーサーが身をかがめて、優しく、リケに笑いかける。

アーサー「外の世界は穢れてはいないよ。

きれいなことばかりではないけれど、リケを幸せにするものがたくさんある。」