壊れかけの世界に呼ばれし神の愛し子2【まほやく】 (ページ18)

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65話ページ18

『前の賢者はどうやって帰ったかご存知でしょうか？』

アーサー「すみません。それが分からないのです。

いきなり居なくなり、別れの挨拶ができなかったのが心残りですが
賢者様、あなたとお会いできたことはとても嬉しく思います。」

『そうですか…。』

Aはまだ帰れないことに少し寂しいとい気持ちになる。

アーサー「あなたも前の賢者様と、遠い世界から来てくださったんでしょう」

『はい。元の世界に戻りたくて、賢者の書にはアーサー王子の名前が記されていたのでもしかしたらと…。』

アーサー「そうでしたか、王子としての務めのためとはいえ駆けつけるのが遅れて申し訳ありませんでした。

残念ながら、異界から訪れる賢者様を、異界へ帰す方法はまだ見付かっておりません。」

『やはりそうでしたか…』

Aは視線を下にやり、やっぱりかと小さなため息をつく。
見つかっているのならば魔法使いたちも知っているはずだから。

アーサー「ですが、優秀な学者たちを集めて異界と行き来する方法について探求を続けております」

それなら自分もその中に入りたいと思ったが、言うのを辞める。
この場を混乱させたくない。

アーサー「賢者様と紋章に選ばれた魔法使い······この世界の仕組みは、私たちにとっても謎だらけです。

前の賢者様のお役には立てませんでしたが、調査を続けて、今度こそ、異界に帰す方法を見つけ出したいと思っています。

それまで、どうか······私たちに力を貸していただけませんか」

そう真っ直ぐな瞳で言われ、Aは否定も何も出来ずにただただ頷いた。

アーサーはいい意味でも悪い意味でも真っ直ぐな子であるためAは少し戸惑いが隠せない。

だってこういうタイプのヒトは初めて関わったから。

それに魔法使いとヒトには溝があるのに、いい関係を築けるはずがないのではと言いかけたが口を噤みアーサーと握手をかわした。

『……アーサー王子、私でよければ喜んで』

アーサー「ありがとうございます賢者様。」