壊れかけの世界に呼ばれし神の愛し子2【まほやく】 (ページ17)

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64話ページ17

レノックス「大丈夫か？」

『まぁ、うん。ありがとう。』

Aはレノックスが差し伸ばした手を握り返し改めて大きいなと思った。

レノックスはその先を見て固まる。

ファウスト「おまえ…」

レノックス「ファウスト様…」

『(彼らは知り合い？)』

Aは疑問に思った。
まぁ、そんなことは置いといて、自分の腕を見る。

傷口はキレイさっぱり消えていて、破れた袖に血が滲んでいるくらいだった。

こういうのを見ると毎回テンションが少し下がる。
そして少し経ち、アーサーがこの事を収めてくれた。

アーサー「賢者様」

アーサーはAを見るなり膝をつき深く頭を下げた。

アーサー「中央の国の王子、アーサーと申します。この度のこと大変に申し訳ありませんでした。
全て私の至らなさが招いたことです。どうか、お許しください。」

一国の王子が膝を着くものだから、兵士たちも慌てて膝を着く。

その光景にAは驚き混乱した。

『(え、この場合何すればいいの？
立場的に彼の方が上だよね、私も膝を着くべき？

え、誰でもいいから、助けて…)

え、あのえっとぉ…』

Aは正直、許せるかと言えば許せなかった。

けれど、ここで許さなければまた魔法使いとヒトとの間に深い溝が生まれるだろうと思いアーサーを立たせる。

『ま、まぁ私たちは何ともなかったですし…
大丈夫だと思います…はい。

前の賢者の書があまり読めなかったんですが、アーサー王子の事も書いてらっしゃいました。』

アーサー「賢者の書に…。
前の賢者様の文字が読めるということは、同じ国、日本からいらっしゃったのですね。」

『あはは、違いますね…。頑張って読んでたんですけど所々分からなくて…』

Aは頭を掻きながら苦笑いをする。