フィールドに降り立つサッカー少女 ACT 1【オリオンの刻印】 (ページ31)

今日:22 hit、昨日:25 hit、合計:18,656 hit

31話やっぱり、勝負やらせてページ31

一方、向こうではAが思った通りのことが起こってた。
一方的なやり合い。

5人に対して1人という図面では5人が有利に見えるが、無敵ヶ原富士丸という少年1人が5人を負かしていた。

それはラフプレーである。
足を狙ってスライディング、肩パン、タックルなどを使いコテンパンにしていたのだ。

「まだまだこれからだよ。
言っただろ再起不能にする」

「(なんで、明日の試合前にこんな事になるんだろう)」

今起こっていることに目を逸らしたい気分だった。
Aは目の前でやられている5人に対して罪悪感を覚えてしまう。

そして、ベンチから立ち上がった。

「ねぇ、少年私と1on1しよう。」

「あれ、お姉さんもやる気になったの？」

「まさか。どう捉えてもらっても構わないよ。
あ、少年がボールとってね。簡単でしょ”とる”だけなんだから。」

Aは足元にころがったボールを弄ぶ。まるでボールが生きているようだ。

無敵ヶ原富士丸はAのボールに食らいつく。ラフプレーだってした。
けれどAには通用しなかった。まるで全てが見えてるかのように避ける。

何分だっただろうか互いに息が荒れる音はしない。

「……案外つまらないね君。」

「っ！」

Aはつまらなさそうにボールから足を話した時、趙雲金の声が聞こえてきた。
無敵ヶ原富士丸は急いで立花の足元にあったボールを拾う。

「じゃまが入ったか、今日はこの辺にしといてやる！」

一瞬、Aを睨みつけ深く帽子をかぶり軽やかに湖の向こうへと消えていった。

「えぇ、もうちょっと楽しみたかった気もしたんだけど…」

帰って明日人と氷浦以外の3人に問い詰められたのは別の話。