10．再び町へ ページ10
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家に着くと、猿の涙はやっと止まりました。
「料理とかは全部任して。
みんなは休んどいてな」
泣きやんだ猿はくるくると働き、あっという間にチンジャオロースがメインの夕食がテーブルに並びました。
「じゃ、いただきます」
「いただきまーす」
「ねえ、俺思ったんだけど」
ぱくっ、と大きく頬張ったご飯を飲み込んで、声を上げたのは雉でした。
「なんでめめって鬼ヶ島から帰ってこなかったの？
確かに赤鬼さんのご飯は美味しいし、お風呂と化粧品も充実してるし、家はぴかぴかだし、日当たり良くて山も海もあるし……あ、だからか」
「え、帰ったけど」
男はあっさり返事をし、雉と猿と犬と桃太郎はびっくりしました。
赤鬼が説明を加えてくれます。
「俺たちのことを正直に説明するって、１回町に行ってくれたんだよ」
青鬼がぶっきらぼうに続けました。
「突っぱねられたらしいけどな。
あの殿様、どうしてもこの島が欲しいってさ」
「それでもう１回船をもらってこっちの島に来たんだけど、底に穴があいてて……」
「え」
「なんとか泳ぎついたところを助けてもらって、それからここにいる」
「ええ……」
雉は絶句し、猿は「俺たちとおんなじやん」と呟き、犬はぐっとこぶしを握りました。
「そんなのひどい。許せない……」
「俺らと一緒に、もう１回だけ行ってみない？」
提案をしたのは桃太郎でした。
「俺たちも借りた船に穴あいてたけどさ。
この島の木とか使えば直せると思うから。
一緒に殿様に話しに行こうよ」
「でもこいつ、武芸者たちに追っかけ回されて船に乗せられたって言ってたぞ」
青鬼が言いましたが、桃太郎はあっけらかんと答えました。
「え、そいつらなら俺がぼこぼこにしてきちゃったけど」
次の日、桃太郎と犬と猿と雉と男と赤鬼と青鬼は、穴の開いた船を修理しました。
そしてその次の日、揃って町へ向かいました。
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作者名：知り合いのすのたんに布教を受けました | 作成日時：2023年7月11日 17時
