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８．昼食 ページ8
「……いつまで見てんの」
青鬼が声をかけると、砂浜のはずれの木に隠れていた猿は、びくっと体をこわばらせました。
昨晩鬼の家を逃げだした猿は、鬼と桃太郎たちが砂浜に向かうのを見て追いかけてきたのでした。
「これ多分、まだまだ終わんないけど」
返事のように、猿のお腹がくうと鳴りました。
青鬼はおもむろに立って砂浜を出ていき、戻ってくると、犬と雉と男にひとつずつ布包みを配りました。
それからもうひとつ布包みを木の下へ置いて、元の位置に座ると自分も手元で包みをほどきました。
入っていたのは、大きな丸いおむすびでした。
猿のお腹がまた、くうと鳴りました。
「食えば」
「……」
「あいつが朝から握ってたんだよ。全員分」
「……」
「みんな具、違うらしいぞ」
砂浜の向こうの方では、さっそくおむすびにかぶりついた３人が中身を見せあっています。
「あ、高菜だー」
「俺はツナマヨ。で、大葉挟んである」
「僕イクラ！」
３度目にくう、とお腹が鳴ったとき、猿はごまかすように「青鬼さんは戦わへんの」と言いました。
「桃太郎は強いよ。赤鬼さん負けてしまうよ」
「俺見たことないし。あいつが負けるとこ」
おむすびを持った青鬼は、赤鬼と桃太郎をじっと見ていました。
「俺が手ぇ出さなくてもいいんだよ。
あいつ負けねえから」
「……」
「お前は？」
「……」
「……別に好きにすればいいけど」
真意を飲みこむように、青鬼はがぶっとおむすびに噛みつきました。
「あ、子持ち昆布だ」
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作者名：知り合いのすのたんに布教を受けました | 作成日時：2023年7月11日 17時
