7.戦い ページ7
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次の日の朝。
たっぷり寝て朝ごはんも完食した桃太郎は、赤鬼と、島の砂浜で向かい合いました。
「行くぞ! 俺が桃太郎だ!」
砂浜のずっと後ろでは、犬と雉が着物の男に撫でられながら座っています。
青鬼は赤鬼の後ろの方にいました。
「俺は、赤鬼だ」
赤鬼はお皿を洗うときにつけていたエプロンを外し、太い金棒を持っています。
桃太郎も腰の刀を抜いて構えます。
「準備いいよね?」
「いつでも」
「俺も!」
2人が動いたのは同時でした。
ガキン! と金棒と刀がぶつかった瞬間、風が巻き起こり砂が飛び散ります。
一歩も引かずにじりじりとつば競り合いをした2人は、ぐっと押し合った勢いで離れ、また同時に地面を蹴りました。
ガキン! と2度目にぶつかった時には、島が揺れたようでした。
赤鬼は金棒を振り回すように勢いをつけ、桃太郎は押し込まれそうになるやさっと側転宙返りで身をかわしました。
着地した桃太郎を赤鬼の金棒が追い、桃太郎も負けじと刀を振って前に出ます。
すれ違いざまにそれぞれの得物がかすめ、桃太郎の腕と赤鬼の頬から、ぱっと血が飛びました。
「強いね」
「そっちも、ね」
ガキン! と三たび、刃と鈍器がぶつかり合いました。
決着はつかないまま朝が過ぎ、いつしかお昼時になりました。
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作者名:知り合いのすのたんに布教を受けました | 作成日時:2023年7月11日 17時