4.雉は知りたがり ページ4
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桃太郎がずんずん歩く後ろを犬がとことこついて行き、猿がとぼとぼとその後を歩いていると、空から「わーっ!」と声がしました。
「ねえねえ、どこ行くの?」
見上げるほど高い空を飛んでいたのは、雉(演:ラウール)でした。
すらりとした足に輝く羽を持った雉は、地上に降りて翼を畳んでも、ほれぼれするほど美しい鳥でした。
「鬼ヶ島だよ」
桃太郎が答えると、雉は「そこ、どんなところ?」と無邪気に聞きました。
「すごく強い鬼がいる島なんだって」
と犬が説明し
「行かん方がええと思うよ」
と猿が続けました。
雉があんまり美しいので、戦いに巻き込まれたらかわいそうだと思ったのでした。
「すごく怖い鬼なんやって。
戦いに行った武芸者が、帰ってこんかったらしい」
けれど雉の返事は「そうなんだ。行ってみたい!」でした。
「僕飛んでばっかりだったから、そういうこと全然知らないの。
髪がピンクの人にも初めて会ったし」
「髪がピンクの人はなかなかおらんよ」
「一緒に来たら、このピンクの髪が360度から見放題だよ」
猿よりも犬の方が、頭の回転はずっと上手でした。
「空を飛んで、何か来たら教えてくれたら助かるな」
「それだけでいいの? じゃあ僕も行く!」
「えっ、来てくれんの!? じゃあきびだんごあげる」
こうして雉も一緒に行くことになりました。
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作者名:知り合いのすのたんに布教を受けました | 作成日時:2023年7月11日 17時