2.犬と出発 ページ2
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ある日のこと、村へお仕事に行ったおばあさんが、鬼のことを聞いて帰ってきました。
「村からずっと行った先の大きな町の、そのまた海の向こうに、鬼ヶ島って島があるんだって。
で、めちゃくちゃやばい鬼が住んでるんだって」
「どうやばいの?」
「おでこに角があって、腕っぷしも鬼強くて、誰も勝てないらしい。
お城の殿様が行かせたイケメンの武芸者は、帰ってすらこなかったって。
俺がそのニュース読んだ」
「うわ……」
おじいさんは引きましたが、桃太郎は目を輝かせて「すげー! アニメみたい!」と言いました。
「俺、鬼と戦ってみたい!」
桃太郎は今や、全身バッキバキのおじいさんと戦っても引き分けられるほどに強くなっていました。
「ねえ行きたい! ここは行くとこでしょ!?」
桃太郎が夜も寝ないほど大騒ぎしますので、翌朝、おじいさんとおばあさんは、桃太郎を送り出すことを決めました。
「気をつけて行くんだぞ」
おじいさんは旅の間に食べるようにと、高たんぱくで食物繊維豊富なきびで団子を作り、プロテインバーと一緒に持たせてくれました。
桃太郎は額に鉢巻きをしめ、腰に刀をさげて、意気揚々と出かけていきました。
「そう言えばもう1個聞いたんだけど、鬼って2人いるらしい。
なんでも生まれたときから隣にいて、育つうちに離れてもなぜかまた出会って、今は一緒に鬼ヶ島にいるって」
「何それエモっ……!」
と言ったのは、たまたまおばあさんについてきていた村の犬でした。
「その鬼、俺も会いたい!」
走っていった犬は、すぐに桃太郎に追いつきました。
「俺も鬼ヶ島に連れてって!」
「え、あべちゃんも来てくれるの!? やったー!
よーしゃしゃしゃしゃしゃ!」
桃太郎からたくさん撫でてもらったうえにきびだんごも分けてもらって、犬はお供として、鬼ヶ島へついて行くことになりました。
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作者名:知り合いのすのたんに布教を受けました | 作成日時:2023年7月11日 17時