81.限界 ページ43
＊
＿ピッ、ピッ、ピッ
規則正しい機械音が聞こえ、視界が明るくなる。
「Aちゃん！」
近くでお茶子ちゃんの声が聞こえ、目線を移すと心配そうにしているクラスのみんなの姿が目に映った。
「今、お医者さん呼ぶね。」
クラスのみんな、とは言っても全員ではない。数名＿ヤオモモ、ジロちゃん、透ちゃん、それから出久とかっちゃんの姿はなかった。
「耳郎と葉隠はまだ意識が戻ってねぇんだ。八百万も、頭を強く打たれて入院してる。」
「出久は…？」
「緑谷も、まだ目が覚めてない。」
轟くんから告げられる一言に、急いでベッドを飛び出そうとする。だがいとも簡単に轟くんに止められ、ベッドの上へと引き戻された。
「轟くん、行かせて。」
「ダメだ。まだ傷が塞がってねぇ。それに、気が付かなかったが、足を火傷してる。」
「火傷…？」
確かに、右の太もも辺りがヒリヒリと痛む感じがする。継ぎはぎ男の炎を受けたが、あれは個性の攻撃だから私には効かないはず。
「あの男＿荼毘の炎を全身で受けたろ。蒼い炎は温度も火力も桁違いだ。いくら真宮の個性でも、耐え切れなかったんじゃないかって医者が言ってた。」
「悪い真宮、我々を庇ったばっかりに。」
自分の個性の限界。恐らく合宿で疲れ切っていたのもあって、のことだろう。
疲れからなのか、それともかっちゃんがいなくなり、出久も未だ目が覚めていない絶望からなのか、轟くんと障子くんの前で、私は激しく取り乱した。
2人も戸惑い、どう対処すればいいのかわからないほどに。
その後お医者さんが来て、私の不安定な状況を確認した。そして恐らく鎮静剤を打たれて、私は再び眠りについた。
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No side
事件から2日が経ち、ようやく緑谷は目を覚ました。
見舞いに来てくれたみんなの姿に少しの嬉しさを感じつつも、今この場に姿が見えない人たちのことが気にかかっていた。
「その…Aちゃんは？」
無茶を繰り返す自分に呆れたのかもしれない、そう思っておずおずと尋ねてみる。
するとA組のみんなは顔を見合わせ、言いづらそうな顔で麗日が話始めた。
緑谷と爆豪がいない事実に取り乱し、現在は薬で眠っている、と。
その話を聞いた緑谷は、先ほどまで話し合っていた爆豪救出作戦に参加する意思がさらに強くなったのであった。
＊
続く (更新停止中)
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
