80.待ってろ ページ42
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どうやらいつの間にか、ミスターの右ポケットの中から球を奪い取っていたらしい。
4人同時に逃げ出すものの、目の前にUSJでいたワープのもやが現れる。
「ごめんね。出久くん、Aちゃんまたね。」
次々と敵連合のメンバーがモヤの中に消えていく。
「待てまだ目標が。」
「あああれはどうやら走り出すほど嬉しかったみたいなのでプレゼントしよう。」
「「はっ！」」
「癖だよ。マジックの基本でね。物を見せびらかす時ってのは、見せたくないものがある時だぜ。」
そう自信満々に言い放つと、舌の上に乗った球を見せる。そこには常闇くんとかっちゃんの姿が見えて、私たちはまんまと彼のマジックに引っかかっていたことがわかった。
彼の暴露に、急いでモヤの方まで走り出す。
「そんじゃお後がよろしいよう…」
その時、一筋のレーザーの光が照らされる。茂みに隠れていた青山くんが出したものらしい。
ミスターは衝撃で球を吐き出し、轟くんと障子くんが急いで手を伸ばす。障子くんの手は届いたものの、轟くんの手はあと一歩というところで継ぎはぎの男に先を越されてしまった。
「悲しいなあ 轟焦凍。」
「うっ……！」
勢い余って転がる轟くん。先ほど借りておいた氷結で継ぎはぎ男に攻撃を仕掛けるものの、彼の個性の方が上回ったのか、すぐに溶かされてしまう。
「確認だ。解除しろ。」
その声で常闇くんとかっちゃんが現れる。
「かっちゃん！」
「かっちゃん！行かないで…！！」
「来んなデク…。A……、待ってろ。」
継ぎはぎ男に首根っこを掴まれたかっちゃんは、そのままモヤの中へと消えて行った。
私たちの目の前に広がるのは、燃え盛る森だけ。
「うああああああ！」
かっちゃんを救えなかった事実に耐えられず叫ぶ出久。私たちも、言葉を失ってその場に立ち尽くしていた。
一気に全てが終わり、今まで放出されていたアドレナリンが切れる。止血されたと思っていた傷も、再び血が流れだし、轟くんの上着を赤色に染めていた。
「出久…？出久！」
叫び声を上げた姿勢のまま、ピタリと動かない出久に私まで気が遠くなる。
「おい真宮、その肩…！」
「足も怪我してないか！？」
遠くからお茶子ちゃんと梅雨ちゃんの駆けて来る足音、そして警察や救急車、消防車などのサイレンが聞こえる中、私の記憶はプツリとそこで切れた。
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
