79.その代わり ページ41
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木の上に敵が佇んでいた。この緊急事態の中、普段より冷静でいれるはずがない。だからこそ誰も気が付かなかったのだ。
「返せ！」
「返せ？妙な話だぜ。爆豪くんは誰のものでもねえ。彼は彼自身のものだぞ、エゴイストめ。」
出久の一言に淡々と反論する敵。轟くんが氷結で捉えようとするものの、優雅に避け他の木の上へと移動する。
「爆豪だけじゃない、常闇もいないぞ！」
後ろにいた2人を気配なく連れ去る、そんな個性を持っているのだろう。常闇くんまで連れ去ったのは、彼の勝手な判断のようだ。
背負っていた人をお茶子ちゃんに預け、轟くんが最大威力の氷結を放つものの、軽々しく逃げられてしまう。
「これにて幕引き！」
そう言い残し逃げ去る彼を、全員で追いかける。
「Aちゃん、肩は大丈夫かしら？」
「止血してもらってるし、何とか。助けてくれてありがとう。」
「ケロ、咄嗟に投げてしまってごめんなさい。こちらこそありがとう。」
「いいの、気にしないで。」
「ちくしょう速えあの仮面！」
「飯田くんがいれば…」
全力で走り続けるものの、悠々と逃げる彼に追いつくことができない。
この状況に焦りを感じたのか、出久が自分の身を顧みない策を提案する。人間玉、お茶子ちゃんの個性で浮かせて、梅雨ちゃんの舌で投げる、というものだった。
「出久、その怪我でそんなの…！」
「Aちゃん、どうしても。どうしても、かっちゃんを助けたいんだ！！」
「…わかった。その代わり、私もいく。」
「真宮こそ、その怪我で「大丈夫。轟くんのおかげで、なんとかなってるから。」」
枝とお茶子ちゃんの上着で出久の腕を固定し、私の怪我ももう一度止血し直して、4人で彼のもとへと飛んだ。
勢いよくぶつかり、そのまま地面へと落ちていく。
「かっちゃんと常闇くんを返せ！」
「Mr.避けろ。」
継ぎはぎの男が、青い炎を私たちの方へ放つ。
「…！」
3人を庇うように前に立ち、彼の炎を全て受け止めた。
「真宮！」
「真宮…？Aちゃんですね！お友達だちです！！」
「友達、じゃないわ…。」
轟くんの方にはトゥワイス、と呼ばれた男が襲いかかり、私の方には彼女が襲ってくる。
「Aちゃん、さっきの血止めちゃったんですか？もっと血が出てた方がもっとカァイイのに！！」
「真宮！」
障子くんがトガちゃんを振り払い、逃げるぞ、と提案する。
「さっき散々見せびらかしたこれが、常闇、爆豪だな！」
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
