幼なじみ、2【ヒロアカ】 (ページ5)

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番外編2 ページ5

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緑谷side

無個性という理由でいじめられるのはいつものこと。個性が全てのこの世界では、こんな僕と一緒に居てくれているAちゃんの方が珍しかった。

この嫉妬も、いつものことだ。彼女はモテる。とにかくモテるのだ。告白、なんて日常茶飯事だろう。

誰かが言った、"幼なじみだから"と言う言葉がやけに胸に突き刺さる。きっと、幼なじみじゃなかったら話すこともなく、ただ遠くからその姿を眺めているだけだっただろう。

「そんな奴じゃなくてさ、俺とクリスマス過ごさねぇ？」

「は、いや、俺と過ごそうぜ！」

だからこそ、彼女がこうしてクラスの男子からクリスマスに誘われているのも普通のことだった。クリスマスというビッグイベント、その日を彼女と過ごしたい男なんて数えきれないほどいるのだろう。

「貴方達と過ごすことは、生まれ変わったとしてもないわ。」

無表情の顔をさらに冷たくさせて、そう言い放つ。帰ろ、と言われた一言から、彼女がかなり腹を立てている事が読み取れた。

無表情と言われる彼女は感情が顔に出にくいだけであり、長年一緒にいるからか段々と彼女の感情を読み取れるようになってきた。そんなことを言ったら、また周りから散々言われるんだろうけど。

「Aちゃんは…いいの？」

少しずつ遠ざかっていく声が何を言っているのか聞き取れなくなる。だが言われてることは何となく想像できて、余計にどうして彼女は僕と居てくれるのか疑問に思った。

「良いって何が？」

「その、ほら、僕といると色々言われるから…。」

「モブの言うことなんて興味ないわ。」

「…そっか。うん、わかった。」

キッパリと言い切る彼女の言葉に安堵する。そうだ、この人は個性じゃなくて、自分を見てくれる。彼女がいる事で僕はどれだけ救われてきたのだろう。

怒っているからか、口調がかっちゃんのようだった。今でこそ僕の方がよく話すが、小さい頃はAちゃんとかっちゃんが一緒にいる事が多かったから。

「そういえば、今日はクリスマスイブだからお母さんがケーキを用意してるって。」

「ほんと？」

「うん。受験生だしパーティとかは出来ないけどね。」

「ううん、それで十分。」

ふわり、そんな効果音が聞こえそうな顔で笑うAちゃん。おそらく無意識であろうその笑顔に、周りが僕のことを何と言おうと、この顔が見られるのは僕の特権だ、そう思った。

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続きはまた明日の夜にでも。