76.肝を試す時間 ページ38
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恐る恐る飲み込むと、全身に何かが行き渡る感じがした。そして、今まで使えていなかった轟くんの雪の個性が使えるようになる。
「恐らくそれは、個性因子が凝縮されたものだ。一度に複数の個性を受けると出来るのだろう。」
面白そう！と言った三奈ちゃんが飲み込んでみるものの，なにも変化はなし。どうやらこれを使えるのは私だけらしい。
出し方はよくわからないので、また明日にでも試してみよう。
「真宮の個性が伸びたことがわかったところで，今日の練習は終わりだ。お疲れ様。」
「さあ昨日言ったね！"世話焼くのは今日だけ"って」
「己で食うメシくらい己で作れ！カレー！」
疲れ果てた体と心に、返事に元気がない生徒たち。唯一燃えている飯田くんの掛け声の元、何とか食事を作りあげた。
3日目も同じように地獄の訓練が行われ、同じように自分たちで夕食を作った。
「さて腹も膨れた、皿も洗った、お次は…！」
「肝を試す時間だー！！」
「その前に大変心苦しいが補習連中はこれから俺と授業だ。すまんな。日中の訓練が思ったより疎かになってたので、こっちを削る。」
「ウソだろー！」
肝試しを心待ちにしていたであろう三奈ちゃん達が連れていかれ、くじ引きでペアを決定した。
「出久とペアなら安心ね。」
「良かった、1人余るかと思ったよ。」
私たちの近くでは、轟くんとペアになったかっちゃんが尾白くんに交換しろと迫っていたり、ヤオモモとペアになりたい峰田くんが青山くんに交換を迫っていたりした。
始まる前から何ともカオスな状況である。
「あの、Aちゃん…？」
「ん？」
「その、まだ始まってないから大丈夫だと思うよ…？」
自分の順番はまだまだ先にもかかわらず、前から聞こえる悲鳴に怯えて出久の腕にしがみつく私に出久が少し困った表情で言う。
「…心の準備をしているの。」
「なるほど…？」
「はいじゃあ6組目、どうぞー！」
次々と出発していき、6組目の、尾白くんと峰田くんが出発しようとした時だった。
「何この焦げ臭いの…」
「あれは…」
「黒煙。」
「何か燃えているのか？」
「まさか山火事！？」
ふと鼻につく焦げ臭い匂いに、山の方へ目をやると、まさにみんなが肝試しをしている辺りから煙が上がっていた。
悲鳴と共に、ピクシーボブが急に森の方へ引きずり込まれ、何者かに襲撃される。
私たちの前に現れたのは＿
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
