75.恐ろしいセリフ ページ37
＊ your side
地獄の2日目が始まった。
時刻は朝の5:30。夏といえど日がようやく差し込み始める時間帯に、全員が眠気を隠しきれていなかった。
「自分の個性の"限界突破"？」
「ああ。」
先生の話によると，私たちはこの1学期で精神面や技術面(あとちょこっと体力も)は成長したものの、個性そのものは成長が乏しいとのことだ。
「死ぬほどキツイがくれぐれも…死なないように。」
そんな恐ろしいセリフを残して、私たちの個性を伸ばすための授業が始まった。
「真宮は…そうだな、今まで個性での攻撃を受けた人は誰だ？」
かっちゃんはいつも借りてるし、轟くんや上鳴くん、三奈ちゃんあたり？
この4人の名前を出すと、全員が私の近くに集められた。
「こいつらには既に課題を与えてある。だが、早速一部変更だ。各自、個性を放出するときには＿全て真宮に向けてやれ。」
「え。」
「そして真宮はそれを全て操作して放出しろ。操作の指示は俺が出していく。」
先生の見解によると、おそらく私には他人の個性を使える時間に限界があるとのこと。また、一度に吸収できる個性の数にも。
今まで試したことがなかったため気が付かなかったが、確かにかっちゃんの個性もずっと使えるわけではない。気がついたら使えなくなっている。
「自分の限界を知ると共に、それを超えていけ。」
こうして、攻撃を受けながら、先生の指示通りに操作する時間が永遠と続いた。
指示の内容は、
「次は5倍。その次は2倍。」
受けた個性を何倍にして返すか、というものだったり、
「轟のあの技やってみろ。」
誰かの技を真似してみるものだったり。
私は今のところ同時に3個の個性を持てることがわかった。時間の限度は不明だが、個性が多いほど減っていく感じがする。
段々と日が傾いてきた頃、同じく既に限界を迎えていた三奈ちゃんが、私の方を向いて不思議な顔をした。
「Aちゃん、そのボール？ビー玉？みたいなの何？？」
「え？」
彼女の指先の方向に目を向けると、足元に２つほど球状のものが落ちていた。
中には雪の結晶のような模様と、雷の模様が描かれている。
「なんだろ、これ。」
「なんか轟と上鳴の個性みたいなマークだねー。」
その一言に相澤先生は何を思ったのか、これを飲み込むように指示をする。
「死ぬ…？」
「死なない。飲んでみろ。」
そして意を決して、飲み込んだ。
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
